カナダに短期留学していた大阪府の高校生と高校教諭が、新型インフルエンザA型 (H1N1) に感染していたようです。国内での感染者は 4人になったとのこと。水際での検疫が一定の効果を上げながらも、すでに、個人でできる対策をしなくてはならない段階のようです。
世界は広いのに 2000人以上が感染している
新型インフルエンザA型 (H1N1) は 4月29日の記事で第 1号かもしれない感染者について書かれていますが、WHO によると 5月8日の時点ですでに 24カ国で 2384人に達しているようです。日本ではゴールデンウィークで、例年より減っているとはいえ海外旅行客の出入りが多い最悪のタイミングに、ここまで感染者が1人も確認されなかったのは、幸運だったというべきでしょう。
報道を見ていて思うのは、4月27日の入国時の任意検疫で、発熱している乗客を通過させてしまったあたりでは、まだ検疫体制の不備が目についていましたが、海外渡航者一人一人の認識の甘さもあるということです。
厳しい入出国検査そのものに免疫がない日本人
例えば「メキシコからの出国時はもっと簡単な自己申告ですんだ」のに、日本への帰国時は検査での検査が異常で、「メキシコの方たちはすごく落ち着いていらっしゃる」のにと TBS のインタビューに答えていた乗客がいたらしく、唖然としました。
2001年頃に行ってきたイスラエルでも、国防的な意味で出国時のセキュリティチェックが厳しく、市内バスにまで、銃持った兵士が確認のため乗り込
んでいく様子を初めて見ましたが、今では日本でさえ、成田空港につく前にバスを止めて、係員が乗り込んでパスポート確認する時代です。
911 テロ以降、米国からの出国時にはセキュリティチェックが一段と厳しくなり、靴を脱いでベルトを外せと言われるようになりましたが、そうする理由には乗客のほうもやはり一定の理解があり、不満を表明する人はおらず、それこそ「落ち着いて」います。
機内にサーモグラフィー持って防護衣来た人が乗り込んできたら、驚きはすると思いますが、パンデミックになるかもしれない由々しき事態なのですから、不快でもつべこべ言わずに協力はするべきでしょう。
日本人らしい脇の甘さというか、横断歩道を渡るときの安全は、対向車が確保してくれるものだと勘違いしているのではないでしょうか。
TBS の元の記事はすでに削除されているようですが、すでに色々なサイトからリンクを張られているのですから、本当に乗客に取材したものであれば当面は見える状態にしておかないと、記事の確かさまで問われると思います。
マスクの着用まで郷に従ってどうするんだ
そこへきて今回の「違和感」騒動です。カナダでマスクをさせると奇異の目で見られるからと、引率教師が生徒にマスクを着用させなかったと。
校長がそのように述べているのであって、現場の教師やコーディネーターがそのような不適切な発言や対応をしていたのかは、いずれ明らかにされると思いますが、どちらにしても、優先順位を間違えています。
外務省の感染危険情報でも、今日現在、行き先がメキシコとなると「不要不急の渡航は延期してください」と明示してあるのに対して、カナダは「十分に注意してください」レベルにとどまっています。旅行自体の催行も中止にはならないでしょうし、キャンセル料の問題もあるので、行くなとは言えないと思います。
しかし、感染者が広まりつつある状況を認識していて、ある程度のリスクを承知で留学日程の続行を決めたのであれば、マスクの一枚ぐらい無理矢理にでも着けさせたって、旅行の思い出には甚大な影響は与えないし、カナダや米国在住の人間は、東洋人がいるなとは思っても、容姿までいちいち気にしません。単に引率者自身が慣れない地域に来たことによる言い訳でしょう。
報道が事実だとすれば、引率教師にコーディネーター、管理者である学校校長の、リスクを過小評価し国内感染の引き金を引いた責任はまぬがれないと思います。
コンピュータのセキュリティと似ているウィルス対策
コンピュータのウィルスや SPAM メールもそうですが、いくら入国検査 (ファイアーウォール、メールサーバ、プロキシサーバ。IDS ((Intrusion Detection System)) ) に力を入れても、マンパワー (マシンパワー) の限界もありますし、そもそもウィルスと判断するか微妙な場合も実際にあります。
利用者の PC 自身に何も対策しなくて良いわけではありません。PC にウィルスチェッカーをインストールしないで使用し続けたり、P2P ソフトウェアを入れて著作権に反したファイルをダウンロードした結果、ソフトウェアにウィルスが隠されていたりする例は実際にあります。
一度、国内 (ファイアーウォールの内側) に入ってしまえば、中には壁は基本的にないため、対策していない人 (ウィルスチェッカーのない PC ) には飛沫感染と接触感染 (無線 LAN と有線 LAN) でウィルスが蔓延し放題です。
ノースウェスト航空 25便に乗り合わせた乗客のうち、55人は入国後東京に向かったらしく。感染者や濃厚接触者は停留されているとはいえ、濃厚接触者も感染者からたった 2m の範囲にいた人で、軽度な人は自治体の健康監視を受けながらも、実は同じ電車に乗っているかもしれません。
厚生労働省の「新型インフルエンザ対策関連情報」には色々と興味深いことが書いてあって、個人でできる対策の中には、マスクの着用、生活必需品の備蓄といったものに混じって、「咳エチケット」 (PDF) なんてものもあります。電車で臆面もなく空間に向かって、くしゃみしている人に見せたいぐらいです。
ともかく、国内に “1” のフラグが立った時点ですでに遅いわけで、 これから外出時には、暑くてもマスク (ウィルスチェッカー) は必須になるんじゃないかと思います。マスコミの取材に対応している大阪府知事も、率先してマスクを着用したほうが良いでしょうね。
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