7L2PTI坂本さんは,パケット通信を使ったネッ トワーク・ニュースシステム,寺子屋のMacへの移植 について発表しました. UUCP機能に対応していたり,パソコン通信ネット NIFTY-Serveの会議室のログも同様に扱うこと ができるようになっているなど,ネットワーク・ニュー スの統合環境として動作するように配慮されていると感 じました.
JL1KUF井出さんからは,転送系RBBSネット ワークFWDnetとTCP/IPネットワークAMP Rnetのあいだでニュース,およびメールの相互転送 を行うYAGIRI−Systemについての発表があ りました. 異なるアーキテクチャーのネットワークを接続するイ ンターネットワーキング・システムの,日本のパケット 通信における先駆けともいうべきソフトウエアです.
JE1WAZ米澤さんからは,高速パケット通信を目 的に開発されたTNC−Zについての発表がありました. 開発の動機や設計思想とともに,高速パケットが実用 化されたあとの夢へと話しがひろがっていきました.
JN1JDZ菅野さんからは,2ポートTNC NP −912について発表がありました。各種の符号形式や 通信速度の対応などモデム・インターフェースへのこだ わりが印象に残りました.
JN1JDZ菅野さんからは,もうひとつ発表があり ました.実際にTNCに接続しての実験はこれからとい うことでした。
ゲストのKA9Qフィル・カーン氏による講演です。 アマチュア無線による,パケット通信リンク層プロトコ ルAX.25が誕生してから,すでに11年(当時)が経 過しました.コンピューター・パワーに代表されるよう に,当時と現在の状況は大きく変化しています.その変 化を踏まえた,新しいリンク層プロトコルについてのア イデアが講演の内容です. 具体的には,FEC(誤り訂正)方式の技術とその実 現手段ということになります.また,無線ならではの問 題である,ヒドゥン・ターミナル(隠れ端末)の対策に ついても触れられていました. KA9Qインターネット・パッケージは,アマチュア 無線でTCP/IPを実現することだけが目的なのでは なく,むしろこれらリンク層の実験を行うためのツール としての意味が大きいとのことです.ソースコードをす べて公開している理由がそこにあります.新しいアイデ アを実現するにあたって,日本のアマチュア無線家に大 いに期待しているとも語っていました.
JH6EBR長江さんは,RBBSからダウンロードし たファイルを加工し,ニュースやメールを読みだす環境に ついてを,様々なツールとともに紹介しました.ファイル 操作ソフトATPと,自動アクセスツールATERMを使 い,FWDnetのニュースを読む様子が実際の例ととも に紹介されました.
JJ1BDX力武さんは,ネットワーク・ニュースとメ ールの相互ゲートウエイ・システムPoboxの発表を行 いました. 規模が大きくなるにしたがって,AMPRnetでは, メールが届きにくくなってしまいました.一方,参加者が 増え転送経路が増えていることもあり,ニュースが届く信 頼性は高くなっています. そこで,メールが特定のニュース・グループに属するニ ュースに変換され,相手に届いた時点で再びメールに変換 される仕組みが考えだされました.それがPoboxなの です.
JH4CIN松野さんは,隠れ端末を作らず,効率的に パケットを転送するネットワークの構成方法について発表 しました.HAM Journal No.68 に発表された,「伝送 効率を落とさないパケット通信ネットワークの構成方法」 の延長線上にあるものです. 最適経路条件を求めるための計算が膨大なものになると のことでしたが,最近(当時)になって比較的容易に近似 値を求めるアルゴリズムが電子情報通信学会で発表された そうです.実際に計算を行い実験してみたい,と結ばれて いました.
JF7WEX鈴木さんによる発表です。現在使用されて いるパケット通信用モデムの多くは,FSKによるもので す.周波数の変化によってデータを転送する方式です.そ れに対しPSKは,位相を変化させることによってデータ を転送する方式です.QPSK(4相PSK)用の復調用 ICが,PCM音楽放送やディジタル・コードレスフォン 用として提供されはじめています.今回の発表では,それ らのICの利用を含めて,実際のシステム構成案が紹介さ れました.
JF7PBW今野さん,JI1FGX上野さんのおふた りの発表です. クラスター・ルーティングと呼ばれる手法を用いて,計 画的にIPアドレスを指定することによって,実際にIP が通る環境を構築した例について紹介されました.
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