まず、地図を見ていただこう。これがハイファ全体。今回の観光の舞台は、北西エリアである。地図右下に KARMELIIT (地下鉄) の線が伸びているのがお分かりだろうか。左下端の駅周辺が丘の頂上で、カルメルエリアと言われる高級ホテル街で、窓側の部屋を取ることができれば、ハイファ市内が写真のように一望できる。 レンガ色の建物は、今回ステイした Holiday Inn Haifa Bayview.

10:30 横田コールで目が覚める。壁はあまり厚くないらしく、隣の子供が騒いでいるので起きたらしい。
ホテルの朝食は 10:00 までなので、時間ぎれにつきとりあえず出かけましょうか、となる。
ドルを NIS に両替。
11:00 今回の trip で会う予定の Shy Cohen が近くの Dan Panorama Hotel にいるというので、飯でもいっとく? というのでかけてみる。昼は友人と会うんで、というので、夜気が向いたら留守電ちょうだいといって切る。
11:10 ホテルは丘の上にあるため、ハイファ港に向かって坂道を下りつつ最寄りの観光地に立ち寄ることにする。途中いくつか分岐があるのだが 、ヘブライ語でしか書いていないので、アレフベートをかじったぐらいではえらく翻訳に時間がかかる。

11:50 バハーイー庭園 (Baha'i Garden)。がしまっていたので入れなかった。
12:10 坂道を下っていくと色々と食べる店買う店あることはあるのだが、全部閉まっているようだ。そのうち、これはシャバットのせいだという結論に達する。 さあ困った。昼飯食うところがない。

 

13:00 入口に電球のマーク。さてこれはなんでしょう。
国立科学技術博物館 (National Museum of Science Design & Technology)てやつじゃないですか?」と横田氏。入館料 22NIS。シェケルで金を払うのはこれが初めてなので、緊張したりするが、少なくとも札に関してはひと目で 20 とか 50 とか分かる位置に書いてあるので楽である。入館時にさっそくおじさん係員のセキュリティチェックがあり、身一つで来たのが明らかな人はそのまま通されるが、私の場合はしっかり、よく見かけるマジックハンドの先だけのような金属センサーでチェックされ、その後あごをしゃくられて行っていいということになる。

13:05 なかは日本によくある文化施設で子供の教育用に科学実験をしてみせたり、数学の概念を積み木や模型などでわかりやすく示すようなもんである。古いものでは計算尺、オープンリールの磁気テープなど、どうするよコレというものも展示してあるが、日本にないものとしては、やはり写真のような戦闘機、そのパイロットが着るスーツ実物、ミサイル模型など軍事色いっぱいのものも平然と展示されている。投資/寄付した会社の一覧を見ると、Sony なんて名前もあったりする。ちょっと面白い展示として、鉄/アルミ/鉛などでできたボトルが並んでいて、見てくれが同じ形状同じ体積でも、質量は違うというお話や、表面張力の説明でデカいシャボン玉というかシャボンの膜を作ってみよう実験がある。まあ近くに泊まる人は行ってみてもいいが、とくに目的地にするほどのものではない。といいつつわれわれは 2時間近くいてしまったが。

出口で捨て猫を発見。

14:00 いい加減腹も減ってきたので、開いてる店を探すことにする。Carmelit (地下鉄)のハネヴィーム駅(HaNevi'm) 入口に到着。うっ、シャバットで地下鉄まで閉まっている。おそるべしシャバット。噴水なんかあって、おばさんがひねもすのたりのたりかな、というのを 見つつ、さらに坂を港に向かって下っていく。

 

14:10 途中で変な道を曲がってしまったらしく、細い路地 (Hatishm vwShalosh St. か?) に入っていきなり生活観豊か。目指すレストランが見つかるまでの辛抱とは思っているのだが、たまたま通りかかった大衆食堂をうらめしくながめてしまい、外で休憩していた店のオヤジに入ったら? と手招きされてしまう。細い路地でも車はおかまいなしに入り込み、町は八百屋の野菜やら軒に干された洗濯物やらじゃまだから道を空けろというクラクションやら怒号やらヘブライ語だかなんだか分からないような挨拶やらであふれかえっている。

14:20 Hameginim 通り沿いの Yan Yan 中華飯店をついに発見。ここでは幸い英語が通じるし、ドルでも NIS でも支払い可能らしい。(後で分かったことだが、イスラエルでは結構 US$ 画通用するのである。Chinese かと聞かれて Japanese だと答えるのは、英語圏のやつらとはいつものやり取りである。店員はきさくな奴で、横田氏が持っているデジカメやら私のノートPC に興味しんしんで、USB ポートがついているだの色々とチェックしていた。

さてまずドリンクをオーダー。横田氏、地ビール、筆者、この後歩くことを考えると、アルコールやめてソフトドリンク。ストロベリーとバナナのミックスジュースみたいなのが出てきた。食事はビーフンとスペアリブである。ゲテモノが出てくることを恐れていたわれわれは、ほっと一安心。ライスがついていたがずいぶん細長くて、固く炊いてある米だった。(何米だろう?)、とにかくたった 3皿なのに量が多い

腹いっぱいで早速動けなくなったわれわれは、今後のプランを立てることにした。
再び地図をご覧いただこう。
今は Karmelitt (地下鉄) の右上端の駅、パリ広場駅周辺にいる。ほとんどハイファ港の目の前で来たが、トルコにでも渡るのでなければ、このエリアにもはや用はない。そこで、地図左上にあるエリヤの洞窟 (ELIJAH'S CAVE) 周辺に海洋博物館やらロープウェイやら面白そうなものがあるので、タクシーでワープすることにする。

15:00 店員にタクシーの呼び方を聞いたら、親切に呼んでくれるらしい。「マ? (なんだって?)」「ローロー (違う違う)」など弾丸ヘブライ語でタクシー会 社とコミュニケーションしてくれた後、ここ Yan Yan から海洋博物館までのタクシー料金は 4$US もしくは 15NIS で、それ以上要求してきたらぼったくりだから拒否して 4$ だけ置いて下車しろとアドバイスされる。

15:05 タクシーに乗車。昨日会社が手配してくれたシェルートと違い、これは素性のよくわからない、その辺のイエローキャブである。
ヘンなところに連れて行かれないだろうか。やはり否定できない。
われわれの心配をよそに、タクシーは下手ではないが乱暴と紙一重な運転で、とってもスピーディに海洋博物館まで連れてきてくれた。所要時間 4分。

筆者「横田さん、4ドルって持ってます? 俺、細かいのなくて」
横田氏「5ドルならありますよ」といいつつ、運転手に渡す。
運ちゃん「Thank you very much. Have a nice day」

おい。待たんかい。

筆者「Hey! Yan Yan の店員は、ここまで 4ドルしかかからないといったぞ。1ドル返せ。1ドル。
旅は最初が肝心である。1ドルぐらい目くじら立てなくても、と思われる読者もいるだろうが、あげようと思ってない相手にくれてやる金はないのである。なめるなタクシー、である。
運ちゃんしぶしぶ承知。1ドルのお釣り。「でも、その海洋博物館は今日閉まっているかもしれないよ。待っててやるから行ってみて来い。閉まっていたら、他の行きたい場所に連れて行ってあげるよ」

私が海洋博物館入口まで行ってドア越しに見ると、ドアはロックされているようだが係員はいた。ジェスチャーで大きく×と、肩をすくめるポーズをして見せてどれか一つは通じるだろうとやってみると、相手は今日閉館なんだと言いたいのか、肩をすくめるポーズを返してきた。
さて、どうしたものか。
地図的には、海洋博物館のすぐ近くにもうひとつ博物館があるため、タクシードライバーの申し出を断り、歩くことにする。

15:15 海洋博物館から坂道をぐるっと下っていくと、5分も経たずに非合法移民・海軍博物館 (Clandestine Immigration and Naval Museum) を発見した。しかし、これも閉まっていた。

さあ困った。ふたたび地図と、右側の写真を拡大してみていただきたい。向こうに 丸いカゴ 3連発のロープウェイがあって乗りたいのだが、博物館から海側には、幅の広い「ハ・ハガナ通り」 (HaHaganna St.) が横切っており、かなり迂回しないとこの通りを横切ることができないのだ。つまりこの道一本で、みんな行きそうな観光地が大きく山側と海側に分断されていることになる。駄目押しで、上から見た写真もある。写真を横切っているのが問題の通りで、写真右端、通り沿いに海軍博物館の目印、戦艦が見えるはず。
ロープウェイに乗ってエリヤの洞窟に行こうと思っていた私たちは、もしかして洞窟はロープウェイに乗らなくても、このまま博物館から山側に上っていけばたどり着けるのではないかという仮説を立てた。かくして、ハイファくんだりまで来てエンドレス山登りが始まった。あービール飲まないでよかった。この道はまったく舗装されておらず、いわゆる山道である。かなり歩きにくいので、来る人がいれば靴は考えたほうがいい。

15:30 ここまで来るとこの後の展開は想像つくと思うが、エリヤの洞窟 (Elijah's Cave; 写真左) もまた、本日休業で、鉄格子が閉まっており入れないのである。そこで、引き返しても何もないので、そのまま山登り続行し、ロープウェイの山頂駅のほうを目指す羽目になるのである。もっとも景色 (写真右) はけっこう良く、たまに山道からポケット状に休むポイントが作ってあり、そこからハイファ港周辺を一望できる。拡大してみるとわかるが、明らかに地元ィーでない Yシャツをきた人が、汗かきながら上ってくる。どうもみんな同じようなルートをたどって、全部閉まっていて全滅した挙句、この山道に集まってきているらしいのだ。やたらと人に会う。

15:40 かなり山道を登ったところで、写真右手前の丸いドームを発見。灯台か天体観測の何かかとおもったが、これはステラ・マリス・カルメリット修道院 (Stella Maris Carmelite Church & Monastery) である。これも閉まっていてなんだか良くわからない。左上に見えるのは、目的地のロープウェイステーション。そう、見通しはよくなったが、まだまだ先なのである。富士山測候所みてえだ。
通りすがりに、何やら太ったオヤジに聞かれたので、雰囲気的にこの人はアラビア語しかしゃべれなくて、質問は時間を知りたいのだと解釈した。英語で読み上げてもきっと通じないだろうから、腕時計を見せてやったら納得したらしく、私の肩を叩いて去っていった。

同行の横田氏、根をあげ始めている。ビールのダメージは想像以上のようだ。

15:50 ついに山頂駅に到着。すぐそばの展望台には異様に人が多い。やはり観光する場所がないので、ここにたまっているというところだろう。 先ほどもお見せしたが、上から見ると、海軍博物館の軍艦があんなに小さい。ほとんど航空写真である。とてもこんな所を歩いて上ってきたとは、思えなかった。
16:00 片道 15NIS を支払い、ロープウェイ (ケーブルカー) に乗り込み。
横田氏、空中に浮いてる乗り物は苦手だといいつつしぶしぶ乗り込み。カゴの中を見上げると、ナレーションの言語 (英語かヘブライ語) 切替えスイッチがあって、日本さながらの「この○○ロープウェイは、これからおよそ 10分かけて、ハイファ湾をめがけて下降してまいりまぁ〜す」というのが聞けるのかと思ったら、壊れてた。

16:15 宿敵ハ・ハガナ通りをパスして、無事海岸に降り立った。海は非常に風が強く、ウインドサーファーの姿が多く見られた。アイスを交代でさびれた店に買いに行き、一休み。見慣れない顔なのか、店の女の子がどこから来たのかと訪ねるから、日本から来たとか色々話してすっかり仲良くなった。アイスはなんだかチョコプリン味の甘ったるいやつ

やたらとあちこちでファンファンファンファンうるさいので、すわ警察か軍隊かと横田氏心配していたが、何のことはない、このうるさいのは車の盗難防止装置である。海に来る連中がこの辺にずらりと車を止めており、さすがにこの辺は平和そうに見えても、犯罪はあるようだ。おまけに、ドライバー本人が操作を間違えてドアを開けて鳴ってしまうというシーンを見かけた。(なんで盗難防止装置だってすぐにわかるのかって? そりゃあ私も同じのを日本でつけているからです (爆))

16:20 エリヤの洞窟周辺はこれで見るところはすべて終わったので、ホテル周辺のカルメルエリアに戻ることにする。ルイス・プロムナード (Louis Promenade) というまた眺めのいい場所があるらしい。問題は、足である。さっきの店の女の子に相談したが、

というわけで、レストランに入り、またノートPC を指差されてこれ何? という会話をしつつ、タクシーを呼んでもらうことに成功。

16:30 タクシー到着。ルイス・プロムナードに連れて行ってくれというと、そんなのは知らんという。おいおい地球の歩き方さんよ、地元の誰も知らないじゃないここ。このプロムナードの場所の説明を何人かにしてみたが、どうもみんなが認識しているのは「カルメル」にある「ハ・ナスィ通り (Ha'Nassi St.)」が有名だということだった。なんかよく分からんが、そんなに外してないだろう。乗り込み。

驚くべきことに、今回のタクシードライバーは日本、しかも香川県の坂出市に住んでいたのだという (爆笑)。
筆者「いつごろ住んでいたの?」
ドライバー「あんたが生まれる前から」
筆者「住んでいたんなら、日本語まだ分かるんじゃないの?」
ドライバー「(日本語・笑福亭二鶴の声で) わすれた

16:40 ほどなくタクシー、ルイス・プロムナードらしき場所に着。カルメルエリアのなかに 2本の道が平行して走っており、一本は地球の歩き方でルイス・プロムナードだと書いてあり、バハーイー廟の入り口に面していてとても眺めがいい場所、もう一つは Dan Carmel, Dan Panorama など高級ホテルが面している道があり、確か後者がハ・ナスィ通りのようである。

筆者「どうもありがとう。いくら?」
ドライバー「(日本語・笑福亭二鶴の声で) 30シェケルね

とぼけた口調につられつつ、再び私のちょっと待ったセンサーが頭のなかで始動。しかし、果たして Yan Yan 中華飯店から博物館まで 5分ぐらいで $4US だったのに対して、今回 10分近くのご乗車で 30シェケル = $7.1US = 900円というのが果たして安いのかどうか情報不足で、そのまま車を出た。

16:45 通りからそのままバハーイー庭園 (Baha'i Garden) を見下ろせる。バハーイー教という宗教の敷地なのだが、午前中であれば一般の人間も入って見学できるようだ。この、なんというかレンガ、白い壁、カラフルな花が織りなす一大芸術は、必見である。長崎のハウステンポスを思わせるが、カラフルでいて白い階段や花壇で 瀟洒にまとめているセンスは、日本人にまねができないものである。[さらに拡大] [解説 (英語)] [解説 (ヘブライ語)]

17:10 通り雨に降られる。しっかり傘を持ってきていた私は、ノートPC が濡れてはこりゃ大変とさっそくさすが、すぐ止んでしまう。ハ・ナスィ通りに行ってみたくて、うろうろしてみる我々。公園で子供が噂の Corkinet を乗り回している。なんのことはない、日本で言うキックボードを現地ではこう呼ぶのである。なんだかここでは今がブームらしく、家族連れを見かけるとかなり高い確率で子供が持っている。ほかにもストリートミュージシャンというか、トランペット吹いている老人とかいたりして、なかなかいい雰囲気である。

18:00 ホテルに戻ってきた。さすがナイキのエアーというか、相当うろうろした割には全然疲れなかった。Shy Cohen から留守電。同僚のイスラエル人で、今回の出張で会う予定の一人である。晩飯を一緒に食いに行こうと話がまとまる。時間がきたら Shy がこちらの Holiday Inn に迎えに来てやるから、エレベーターで降りて来いという。や実は逆で、ロビー階は上で go up なんだよと答えたら、相手納得。たわごとでした。はい次。

19:10 Shy Cohen ホテル着。こいつ思ったより大柄というか、マイケル・ジョーダンの親戚みたいである。ちょっと遅くなっちゃったけど大丈夫かなというから、ヘブライ語でまあまあやねと答えたら、あまりに意表をつかれたのかこちらをすごい形相で一瞬みて、"Good! ヘブライ語の使い方わかってんじゃん" と喜んでいた。

本日はカルメルエリア内の地中海フードレストランである。いや、あのね、チーズがうまいんですよ。オリーブがうまいんですよ。魚のフライはもちろん、ジャガイモもうまいんですよ。イスラエル最高。すっかり語らった我々は満足して帰って寝る。

04:00 といいたかったところだが、仕事の準備をしてすっかり遅くなってしまった。明日朝 9時からミーティングがあり、7:45 に会社に着いて、まったく知らない環境でプレゼン用 PC ・プロジェクターのセットアップとハンドアウトのコピーを人数分作らなければならない。
準備が完璧であることを確認して寝る。

[つづき]