今回 10万円 PC を組み立てるにあたり、手持ちパーツのリサイクルで多少予算が浮いた分、いいケースにしてみました。ケース Abee B640-GR を愛でる編です。電源抜き 1万円のケースというのも、狙い目としては悪くないかもしれず。

Abee B640-GR: 斜め前

白黒グレーしかない PC ケースに絶望した!

特に今に始まったことではないのですが、自作 PC 市場で最大に許せないこと。それはケースにカラーバリエーションが少ないことです。そりゃあマーケットの大きさが違いますから、PANTONE 携帯 812SH みたいに 24色用意しろとは言いません。せめて白黒グレー以外にもう 1色でいいから追加してくれよ、と。

PANTONE ゴーガイド(コート紙)

過去 2回 TWOTOP で購入した PC は、ことごとくグレー。そして 5インチドライブの目隠しカバーは、納品時にすでに凹んでいる代物。エアフロー自体は悪くありませんが、飽きました。

RAID 前提のエアフローは確保したい

もちろん色がついてりゃ何でも良いわけではなく、今回のケース選びの観点はいくつかあります。

以上。あとは PCI スロットカバーの立て付けが悪かろうが文句は言わない…ということで色々探したところ、ツクモパソコン本店II の 3F でこのケースを見つけたというわけです。

電源なしで 1万円なら、そこそこ良いケースが手に入る

通常価格 12,970 円のところ、特別価格 9,999円という、記念乗車券が売り切れて苦情殺到の電車みたいな値段。アビー (Abee) 株式会社のケースを買うのは今回初めてですが、1万円にしては割とこちらの条件を満たしているので、買ってみました。

赤い PC です。ケースに傷がつかないよう、ビニールではなく不織布で包まれていて、ソニーのハイビジョンカメラ HDR-TG1 を出すときのワクワク感に近いものがあります。

Abee B640-GR: カバー Abee B640-GR: 前面

自作 PC ケースと言えば、起動承認! と大げさに押したくなる巨大ボタンが多い中、B640 のものは POWER や RESET ボタンが小さく押しにくくなっています。サーバ用にはこの方がいいでしょう。USB コネクタなども含めて、1列にスッキリとまとまっています。

前面カバーを取り外すと、”balance” ロゴの裏側に 12cm ファンを取り付けるスペースがありますが、ファン自体は別売です。

Abee B640: 前面 PC ファンカバー

背面にも 12cm ファン x 1基。ファン部分をカバーするメッシュは、安物ケースだとわりと真っ平らなものが多いのですが、強度を確保するためか、目玉焼きのように凹凸がつけてあります。

Abee B640-GR: 背面

さりげなく感動したのが、正面から見て左サイドのフタを止める手回しネジ x 2 です。ネジが手回しだからといって今時普通ですが、外してもネジ穴に引っかかる構造になっており、ポロッと下に落ちて紛失しないようにできています。

Abee-B640: 背面ネジを締めた状態 Abee B640: 背面ネジをゆるめた状態

3.5 インチ HDD ベイはドライバーレス構造

問題の 3.5 インチ HDD ベイですが、意外にありそうでない特長として、3.5 インチドライブを横向きに取り付けるようになっています。4ドライブ分丸ごとユニットとして取り外しできるケースは良くありますが、Abee B640 の場合は、1ドライブごとにトレイが引き出せるようになっています。

Abee B640: 3.5 インチドライブベイ

ドライブトレイはプラスチック樹脂で、堅牢な作りではありません。こんなもんで大丈夫かな、という気もします。

HDD の取付はドライバーを使わず、HDD 両サイドのネジ穴を貫通するようなプラスチックの部品をパチンと通して終わりです。HDD と接する部分は柔らかい樹脂になっていて、防振材の役割を果たしているようです。

Abee B640: 3.5 インチドライブトレイ: ネジ穴外した状態Abee B640: 3.5 インチドライブトレイ: ネジ穴ロック状態

PCI スロットの目隠しカバーもドライバーレス仕様になっていて、金属カバーを黒い樹脂パーツで固定するようになっています。が、壊れやすそうです。留め具に頼らず、普通にネジ止めした方がいいかもしれません。

Abee B640: PCI スロットの目隠しカバー

凝るところが微妙にズレているが、おもてなしを感じる一品

全体的な感想としては、5インチベイや PCI スロット留め金など、耐久面では

「力を入れるのはそこなのか?」

と問い詰めたい箇所がいくつかあることはありますが、サイドカバーやフロントカバーの開閉が非常にしやすく、表面の仕上げも微妙に凝っている Abee のケースなんであります。3.5 インチ HDD が横向きに取り付けられ、サイドカバーを開けただけで 1台ずつすぐ取り出せるケース、というのも、あまり種類は多くないと思います。

iPhone 3G 持ちが、用もないのに画面いじって遊ぶのと同じで、スペックでは表せない、作り手の遊び心とおもてなしの精神にひかれるのでしょうね、このケース。「ゲーミング PC」のイメージを日本人とは違うセンスで体現した重厚長大なケースなら世にあふれていますが、それとは一線を画している製品です。

電源抜き 1万円出して、おっ、意外といいケース買ったかもな、というのが正直な感想です。

次回はマザーボード編。

つづく。