モバイルグッズを色々持ち歩くガジェット好きには、iPhone 3G S をモデム化できる「テザリング」は魅力的に映りますが、イーモバイルとは違い、iPhone の世界では Apple / ソフトバンクにずいぶん嫌われているようです。

デジタル一眼が来ると iPhone 3G S の入る隙はない

iPhone 3G S 買わないのかって? 冗談言っちゃいけません。…本当は店頭で少し触ってみました。もはや当て馬みたいに店頭にならべて置かれた iPhone 3G と、3G S とでSafari ブラウザだの Google Map だの起動すると、たしかにストレス無く起動します。

しかし、デジタル一眼レフ EOS Kiss X3 (本体のみ 480g)、そのダブルズームキット (200g + 390g) 、早い話、だのガラスだの持って歩いていて、さらにノート PC Eee PC 901-X (1.1kg) , イーモバイル D11LC, 携帯電話 SH-01A と、背中にしょってる主なものだけで 2170g 。本当はサンタクロースなんですよ、そこでクスッと笑ってしまったあなた。

この上、iPhone 3G S まで誘惑に負けてジャラジャラ追加するとなると、おサイフケータイにもヨドバシのポイントカードにもなりゃしねえため、ビュー・スイカカードとヨドバシ eLIO カードが復活してしまい、財布が太ります。

…ということで、重量的にも、月額使用料的にも、ハコの多さ的にも、相応の気合いが必要になります。

無線モデムとして使えるなら iPhone 3G の魅力倍増

もうちょっと一般的な話にすると、ノート PC を持ち歩いている場合、

  • ノート PC
  • ノート PC 用のデータ通信カード
  • 携帯電話 / スマートフォン

の 3点セットを持ち歩くことになります。それでもこの見せ方が上手なエンタメフォンへの移行に今ひとつ踏み切る気にならないのは、これがモデムとして使えないからです。

ノート PC → (WiFi or Bluetooth 経由) → スマートフォン → (インターネット)

これがソフトバンク公認で可能であれば、晴れて SH-01A は半年の命で、ドコモ→ソフトバンクに MNP です。

非公認で、iPhone 3G 上でこれをやる方法はあります。

Jailbreak + 各種プロキシソフト

Jailbreak (脱獄) という名前の通り、物騒なもので、Apple 公認の App Store で配布できないような非公式のアプリを使えるようにすることを指します。一度脱獄してしまえば、Apple が認めていない、モデム化のためのソフトもインストールできるというわけです。

残念ながら、Jailbreak という行為自体を Apple が iPhone SDK で禁止しています。

NetShare

App Store には当然ながら Apple にとって都合の悪いモデム化アプリのようなものは無かったわけですが、NetShare という iPhone を WiFi モデム化するアプリは、一時期 App Store 上で購入できました。利用するに先立って、Jailbreak する必要もありません。できました、というのは、Apple 側の意向により、NetShare が App Store に並んだり、消えたりしているからです。

iPhone 3G S にはメーカー公認「テザリング」機能が

iPhone 3G S になってから、USB / Bluetooth のいずれかを利用してしたテザリング (Internet Tethering) 機能が標準装備になりました。

じゃあ 3G S で決まりじゃないですか、という気もしますが、Apple 側が実装していても、実際に利用できるかどうかは、各国の事業者任せとなっています。実際問題、米国の AT&T、日本のソフトバンクではテザリングを利用することが、できない設定になっています。

イーモバイルは WMWifiRouter でテザリングし放題

イーモバイルユーザからすると、「何をそんなことで大騒ぎしているんだ」という気もします。イーモバイルの Touch Diamond のような Windows Mobile 搭載スマートフォンでは、WMWifiRouter という、iPhone 3G でいう NetShare のようなアプリをインストールすることで、普通に定額料金で “テザリング” できてしまうわけです。

特にイーモバイルも使用を禁止してはいません。

イーモバイルにできてソフトバンクで出来ない理由

ITPro によれば、ソフトバンクの株主総会で、果敢にも、イーモバイルにできて、なんでソフトバンクの iPhone ではテザリングができないのか質問した人がいるらしく。それに答えて、孫正義社長、次のように答えたようです。

テザリング機能を利用可能にしたら,100倍,200倍のパケットを使う人が出てくるだろう。定額料金でデータ容量が増えるのは投資効率が悪い。一部のユーザーが求める機能を提供するために,100人分の帯域を占拠させるのは,他のユーザーに申し訳ない。通信料金が青天井ならばテザリング機能も容認する。欧米でもその例が多いようだ。

帯域制限 + テザリングがユーザーのためでは?

果たして本当に、それがテザリングを認めない理由なんでしょうかね。ADSL / 光ファイバのプロバイダにしても、帯域制限を平気でかけているわけで、1%-10% 程度のヘビーユーザがソフトバンクの「投資効率を悪く」しているのであれば、帯域制限したほうが iPhone 3G S を購入させる「最後の一押し」になると思うのですがね。

私も含めて大半のノート PC ユーザは、まさか iPhone 3G S でテザリングし、P2P ソフトを使い公衆送信権をわざわざ侵害しようとは思っていないはずで、単に iPhone より広いノート PC の画面で短時間、出先で Web ブラウジングできて、ブログの 1つも書ければそれで十分なはずです。

帯域制限のためのルータなり帯域制御装置なりを導入する費用が合わないか、帯域制御が導入しづらいインフラになっていて手間取っているのか。

先代 iPhone 3G の発売から 1ヶ月たたないうちに、パケット定額フルの料金を 2段階定額制に改めたソフトバンクのことです。孫社長、表向きはそう言いながら、社内では今死にものぐるいで帯域制限導入 + テザリング解禁の準備を進めていると見ました。

そしてテザリング最終にして最大の落とし穴

ただ…テザリングか。できても iPhone 3G S のバッテリーが持たないかもしれませんね。予備バッテリー…などと考え始めると、もうバッテリー長持ち Eee PC と イーモバ / WiMAX のデータ通信カードでいいじゃんって気もします。

振り出しに戻る。 🙂