ペンタックス のデジタル一眼レフカメラ K-7 が発売されます。正直ペンタックスのカメラはあまり興味が無かったのですが、キャノン製品に慣れた目にはペンタックスのカメラ、動画など目立つスペック以外にも自動水平補正機能、視野率 100%、ダストアラート機能など、何でもなさそうに見えてよく考えられた点が多いようです。

ペンタックス、ノーマークだったがパイオニア

ペンタックスのデジタル一眼レフ。いや、こだわりがあってオンリーワンの画質が出せる。でもどこか不器用なブランドイメージがあります。あくまで、私の先入観です。正直、パッとしません。

カーナビでいうとアルパインです。タクシーなどの業務用に好まれていると聞きますし、確かに自分で使っていてもツボを押さえた交差点案内や適切なルーティングは評価します。だが、地味です。売りました。いま私が使っているのはチャラいがカラフルで楽しいカロッツェリアの AVIC-H9 です。

ディスプレイでいうとナナオです。かつて 1993年頃は、21インチ CRT 確かに所有していました。OEM 下請けメーカーとして着実に実力を積み上げた後、EIZO ブランドを立ち上げました。いい CRT ですが、高いです。買いません。今はツッコミどころ満載でも、チャラチャラと映像入力端子の沢山ついた BenQ FP241W を愛用しています。

俺のチャラさにお前が泣いた、的な Nire のデジタル一眼メーカー優先順位としては、

1番キャノン、2番ニコン、34がなくて 5にソニー。

ぐらいです。しかし、そのキャノン、ニコンは実は一眼レフカメラ後発 (1959年にキャノンF、ニコン フレックス発売) であって、ペンタックスは 1952年に一眼レフカメラ「アサヒフレックスI」を発売したメーカー、旭化学工業が社名変更した会社だったりします。PENTAX。PENTAX。

そんなペンタックスが満を持して発売するデジタル一眼レフカメラ K-7 が話題になっています。全体的な機能比較は今回後にして、K-7 のグッと来た機能を書いてみます。

ありそうで無かった自動水平補正機能

もっとも目を引くのは、やはり自動水平補正機能でしょう。

手ぶれ補正は何をどうやって補正しているのか

ニコンやキャノンのいう「手ぶれ補正」は、カメラを構えてファインダーをのぞいたとき、絵のタテヨコ方向へのブレを修正します。ニコンはX軸 (ピッチング) と Y軸 (ヨーイング)、と説明しています。Z軸はありません。

「Z軸」を補正するには手動か三脚しかなかった

Z軸って何?

絵の傾き、つまり水平を保つような補正です。カメラを手持ちする場合は、地平線、柱、窓枠といった被写体の中で「真っ直ぐなもの」を基準に、ファインダーをのぞいたときの枠なり、ファインダー中央の AF フレームなりとピタリと合わせることで、水平を保ちます。ビデオカメラ HDR-TG5V のように、ガイドフレームが表示されるカメラもあります。

しかし、コンパクトで軽いカメラになればなるほど、水平を保つのは技術的に難しくなります。どうーしても 1度程度の傾きが生じることがあるんですよね、電車が来るから急いで撮った場合など 🙂

東武野田線 右に傾き: EOS Kiss X3: スポーツ 1/1600sec F5.6 ISO1600 232mm EF-S55-250mm

完璧にやるなら三脚と、液体に気泡の入った水準器が必要です。そして三脚が肩にズッシリくると。

丸型気泡管 R16

K-7 の場合は、なんとセンサが傾く

K-7 の画期的なのは、電子水準器を内蔵していて、そのデータをもとにイメージセンサの方で勝手に傾いて補正してくれる点です。傾き補正の限界は 2度ですので、油断して 1度傾いているような場合は許容範囲内、三脚いらず! というわけです。

何で今までこの機能がなかったんだ!

と窓を開けて叫びたくなるような機能ですが 🙂 、ニコンやキャノン製品にはありません。どう考えても、一度、蜜の味を知ってしまったらなんでニコキャノには水平補正つかないの? と誰しも思うでしょう。

ニコンとキャノン不利か?

ニコンやキャノンのデジタル一眼レフが、レンズ内手ぶれ補正といって、レンズの方で動いて (X-Y軸方向の) ズレを修正するのに対して、ペンタックス社のカメラはもともと、撮像素子シフトといって、カメラ本体内のイメージセンサ自体がタテヨコに動く仕組みになっています。だから、その延長でセンサが傾くようにする機構を追加すれば良いわけです。

ニコン / キャノンが新しくこの機構を実装するには、レンズ傾けてもしょうがないので、結局本体内に一からイメージセンサの Z軸方向回転システムを追加する必要があり、コストや重量面で不利になるかもしれません。

ファインダー視野率100%

素直に良いと思えるのが、光学ファインダーの視野率が 100% なことです。

例えば EOS Kiss X3 で、自分では光学ファインダーを念入りに見て、構図は完璧なはずなのに、隅っこに余計な柱だの、隣の木の葉っぱだの、自分の足指 🙂 といったものが写り込むことがあります。ファインダーで見ている画像と、実際にイメージセンサに写る画像では、わずかにサイズが違うからです。

EOS Kiss X3 でのファインダー視野率は 95% と、5% 分せまいために、余計なものが入ってくる可能性があります。デジタル一眼レフとしては標準的な数値で、構造上やむを得ないもののようですが、K-7 では 100% を実現しているので、見たサイズそのまま画像になります。

ダストアラートもありそうでなかった

ダストアラート機能というものもあります。

ダスト除去機能であればニコン、キャノンのデジタル一眼にも名称は違いますがついています。超音波でイメージセンサを振動させて、付着したゴミをふるい落とすわけです。しかし万能というわけではなく、微細なゴミが付着したのに気がつかないまま撮影してしまうことがありました。

ダストデリートデータ付加機能なんてのもニコン、キャノン製品についています。これは、あらかじめ白い紙などを撮影しておき、現在イメージセンサのどこにゴミが付着しているかを、ダストデリートデータとして覚えておきます。このデータは、撮影時に画像データの方に自動的に付加され、メーカー純正のツールで、ゴミを目立たなくする処理ができます。あくまで撮影後ソフトウェア的にレタッチするので、効果は微妙といわれています。

ダストアラート機能は、撮影前にゴミの付着を教えてくれる機能です。場所まで液晶モニターに表示することができるようです。失敗が減り、ダストデリートデータのように後でつじつま合わせする必要もなく、事前に気づくことができるわけで、これもありそうでなかった機能ですね。

次回は機種比較です。