キャノン EOS Kiss X3 で、動画撮影中には AE ロックボタンを押さないとピントが合わないことは分かりました。ボタン配置による使い勝手を、ソニー HDR-TG1 と比較してみます。
押しにくい位置にある AE ボタン
この AE ボタン、場所的に押しにくいのです。このカメラを持ったとき、レンズつき状態の一眼レフカメラは重いので、右手はシャッターを切るための人差し指をのぞいて、グリップを包むように 4本の指で支えますよね。
カメラ背面を支えているのは右手では親指だけなので、滑らないよう、液晶パネル右肩のラバー部分に指が置かれるはずです。ところが、AE ボタンを押すためには親指をぐいっと右上に反らす必要があります。
(3/29 追記: 動画では右手でのみホールドしていますが、実際は両手持ちと考えてください)
カメラ手持ちでの動画撮影で、手ブレは命取りです。静止画の場合、シャッターを切るその一瞬だけ息をつめて脇を締め、ガシッ! とホールドしていれば良いですが、動画はその何倍もシビアで、ちょっとモードを変えるために指一本動かしただけで、録画映像が少し揺れたり傾いたりすることがあります。
ソニー HDR-TG1 のタテ持ちボタン配置
これはソニーのデジタルビデオカメラ HDR-TG1。タテに持つこのカメラ、右手でガシッと縦に握って撮影します。
ズーム操作するための「W-T」が刻印されている箇所や、動画中の静止画撮影につかうシャッターボタンは、できるだけボディの左側に寄せてあります。
HDR-TG1 も EOS Kiss X3 (というか一眼カメラすべて) では、右手親指で支えないと不安定になるような形をしているときは、親指はできるだけ内側で動かさない状態が好ましいわけです。
HDR-TG1 のこの配置でさえ、撮影中のズームリングやシャッターボタンの操作には揺れないよう相当気を使うので、EOS Kiss X3 ではちょっと…という気がします。
iVIS シリーズと EOS シリーズは水と油なのか
2回にわたって、EOS Kiss X3 の動画機能を見てみました。
おそらく、前バージョンの EOS Kiss X2 と操作性を統一したりボディ設計を使いまわすためにこうなっているのだと思いますが、動画撮影をまだまだオマケとしてしか捉えていない気がします。可動ミラー構造によりどうしてもボタンを押して合焦させる必要があるなら、ボタンはせめて人差し指で押せる範囲に配置するとかするべきでしょう。
動画撮影中のフォーカスなんざ、MF (マニュアル) で合わせやがれという一見さんお断り仕様が通じるのは、高級モデルの 5D Mark II のときに限られます。一眼エントリーユーザー狙いの EOS Kiss シリーズにこそ、ボディ設計にコストはかけたくなくても、こういったちょっとした使い勝手が求められるところでしょう。
キャノンは、EOS シリーズとは別に HD デジタルビデオカメラ iVIS HF-11 (現在の最上位モデルは HF-20) を出しています。撮影中の絵のコントラストでなく、外測AF センサーを別途搭載した、測距性能に関しては優れモノです。
キャノンとしては、ビデオはビデオ、一眼は一眼ですみ分けたいのが本音なのでしょぅか。
デジイチは基本、両手で保持するんじゃないですかね。
それでも、X3 の動画撮影機能がおまけ扱いという意見には同意します。
ご指摘ありがとうございます。動画が、一人で左手でビデオ、右手で X3 を持っていて、常時片手持ちなのかと受け取れるので、追記しておきました。
なるほど、両手持ちであっても指一本動かしただけで、録画映像が少し揺れたり傾いたりすることがあるということですね。
そういう意味では、ズームの操作には左手でズームリングを操作する必要がありますし、まぁ、そもそもが写真を撮る為の機械ですしね。