アドビシステムズ株式会社の Kevin Connor 氏による講演「フォトグラフィーにおける Photoshop と次世代デジタル技術の動向」、後半です。画像改ざんの解析技術で Clone Scanner というものがあるようです。講演全体についてもまとめてみます。
Clone Scanner というのは、ダートマス大学の研究の一環として行われている画像改ざんの解析技術の名前です。Photoshop 上でピクセル単位で解析し、不自然に色が変化している箇所を強調して見せてくれます。
デモ画像です。自然の風景を普通に撮影しただけのように思えますが、
Clone Scanner にかけてやると、画面左下の岩肌にドットの変化が不自然なことが分かり、元の映像では鳥がとまっていて、改ざんして消した画像でした、というわけです。
もともと、鳥がいたことまでは分からないけれど、何か加工されたというレベルであれば分かるようです。
感想 – 高解像度競争から、シャッター1回の情報量競争に
確かに、CCD / CMOS イメージセンサの解像度競争は、もうユーザーがそれ以上期待しない不毛なレベルにまで達しています。カメラ業界的には、過剰になってきたハードスペックで、次は「一発シャッターを切っただけ」の瞬間にいかにデジタル的に付加価値の高い画像を取るか、というところにシフトしていくのでしょう。
ところでカメラや PC 側での先進の画像加工技術については面白かったけれど、そんな中で Photoshop 自身がどう変化していくのか、という話も少し聞きたかった気がします。
そりゃ MIT やダートマス大学の研究成果を取り込んで、何でもできるフォトレタッチアプリケーションとしてブクブクと肥大化していく ことは、割と社内のコンセンサスも取りやすいという意味で簡単にできてしまうアプローチですが、アプリケーションとしての機能の取捨選択というか、主張というか、クセというか、がこれから求められる気もしました。
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