PIE 2009 (Photo Imagng Expo) に参加して、アドビシステムズ株式会社の Kevin Connor 氏による講演「フォトグラフィーにおける Photoshop と次世代デジタル技術の動向」を聴講してきました。個々の技術は面白いけれど、Photoshop 自身はこれからどうなっていくのでしょうね。
(高解像度競争…の話は、次のエントリーに移動しました)
正直、Photoshop CS4 の既存機能のご紹介めいた講演なのかと思ってあまり期待はしていなかったのですが、予想に反して色々面白い画像処理技術が見られました。
解像度ではなく感度やダイナミックレンジを上げる EXR センサー
大筋としては、「写真にとって『現実』とは何か」という切り口で、いまやデジタルカメラで撮ったものはさまざまな加工がカメラ上や、PC 上、もしくは Web アプリケーション上で施されるようになっていると。
ただ高解像度な写真を撮るだけでないう例として富士フィルム EXR センサーの例が紹介されていました。イメージセンサ上の隣り合うピクセルを、まとまった 1つのピクセルとして捉えて、感度やダイナミックレンジを強化することができるようです。
昆虫の眼カメラによって撮影後にフォーカスをいじる
2D 的に画像を撮影するだけでなく、昆虫の眼 (insect eye) のような特殊なレンズで撮った多数の細かい映像を使って、撮影した後なのにフォーカスを直せる技術もかなり衝撃的でした。絞りを絞ったり開いたり、被写体深度を深くしたり浅くしたりレタッチするデモが行われました。
撮影時に調整しているのではないし、絞りを変えた写真を大量に用意しているわけでもない、というのがミソ。シャッターを切るのはおそらく一回だけなのですが、無数の細かいレンズで少しずつ違った角度から同じ被写体を撮影しているために、2D 的な一枚の画像データでは分からない情報が得られると。
これが撮影した RAW データの全体像と、その拡大です。これだけでは通常のデジカメ画像の方がマシというか、あなたの直感と連想能力に挑戦するヒントでピントみたいで、何の絵だかよく分かりません。
こちらは公園の噴水の画像。やはり RAW データでは分かりにくいのですが、ツールで加工してやると、正しい噴水画像になります。噴水も後ろの木もクリアに見えているのがデフォルト。
ここで特殊なレンズを通していることで、噴水は手前にあって、木は後ろにある、といった、奥行き方向の位置関係がデータとして残っていることになります。
スライダーバーを左右に移動すると、ダイナミックに被写界深度が変化して、後ろの木がピンぼけしてボケ味状態になったり、手前の泉がピンぼけしたりします。
Adobe 社 Kevin 氏の講演、後編に続きます。
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