和製セカンドライフと形容される meet-me がサービス開始しました。

カーナビと同様の地図情報を元にした、現実に忠実な東京 23区を 3D バーチャルワールドとして実現したもの、のようです。

先日、セガ internet Adventure [iA] のクローズドベータテストに参加していましたが、iA が MMORPG 的テイストを盛り込んだメタバースなのに対して、こちらはゲーム性はあまりない、正当派メタバースのように思えます。

運営は株式会社ココア(Co-Core)という資本金 1億円の会社で、トランスコスモス、フロム・ソフトウェア、産業経済新聞社などが出資、となっています。フロム・ソフトウェアというと、主流にはなりきれないけど、独特の世界観を持ったゲームが得意な印象がありますね。エヴァーグレイス大好きです。

アカウントの新規登録が混んでいるらしく、接続できないので、例によって利用規約についてチェックしてみることにしました。

第6条:コミュニケーション
① 会員が、本サービス内で送信等を行ったコンテンツ(文章、情報等を含みますが、これらに限られません。また、手紙・チャット等不特定多数人に公開されない機能を有するサービス内で行われたものも含みます。以下「会員コンテンツ」と総称します)に含まれる著作物について、当該著作物の著作権を自らが保有していること、自らが著作権者より正当に当該著作物の利用を許諾されていること、または適法に当該著作物を利用していること、および第8条2項記載の禁止事項に違反していないことを保証するものとします。万一、第三者より会員コンテンツに関して異議が申し立てられた場合、会員自らの責任と費用負担によりこれを解決し、会社を免責するものとします。

会員はアップするコンテンツに責任を持てと。当然。次。

③ 会員コンテンツの著作権はその著作物を作成した方に帰属します。

おっ、これは珍しく会員の著作権に配慮した良スレ良い規約だ、と最後まで読まない人を振り落としつつ…

但し、会員は会社が会員への事前の告知なしに自らの裁量に基づき、本サービス内に限らず、あらゆる用途と場所において会員コンテンツを自由に利用、使用、編集、改変、第三者に提供、内容を調査、他のサービスまたは広告宣伝活動への利用、他のコンテンツまたは広告等と組み合わせて掲載出来るものとします。並びに第三者にこれらを行うことを許諾する譲渡可能かつ期間無制限の権利を付与するものとします。また、会員は著作者人格権を行使しないものとします。

係り受けが微妙なので、会社 (株式会社ココア) を強調してみました。私の理解が正しければ、何かをアップした人の著作権は結局、骨抜きです。

「著作権人格権も著作権も、当然お客様のものです。で・も登録ページの同意ボタンを押した瞬間に、運営側が会員コンテンツをどのように使おうが、OK したとみなします。永久に許諾していただき、大変ありがとうございました」と。

セガ iA の規約と、著作権の帰属が違うだけで、効果としては変わりません。さらにダメ押しで、

④ 会社および会社が許諾する第三者は、前項に記載する行為について会員に対してのいかなる対価、報酬の支払いも必要としないものとします。会員は会社および会社が許諾する第三者に対して当該行為に関する一切の責任を免除するものとします。

あなたのアバターの、コストのかかった素晴らしいファッションセンスが meet-me の解説本に掲載されても、ギャラは入りません。

ブログのホスティングサーバといい、メタバースといい、あまりにも「著作権放棄と同じこと」な規約が多いのは気のせいでしょうか。

規約では広めに運営側の権利を確保しておいて、実運用上は、希望者が多い場合、事前に許諾を得たりといったことが行われるのかもしれません。いずれにせよ、利用者の大事な大事な著作物は、運営会社側の手の平の上、砂上の楼閣だと考えたほうが無難でしょう。

この手の規約が増えるようだと、バーチャルワールド内で第二の人生が始まってしまった常連さん以外、本気で作り込んだデータをアップする人はいなくなるのではと危惧しています。

運営会社側にとっても、規約を気にしない利用者が多いうちは影響がないかもしれません。しかし長期的には、過剰に運用される「個人情報保護」と同じく、利用者の権利意識が高まるのに伴いモチベーションを削ぐ要因になるのでは、と私は考えています。