Eee PC シリーズと国産メーカー富士通とソニーによる ミニノート PC / UMPC の比較、続きです。シャープの PHS 内蔵スマートフォン、WILLCOM D4 とも比較してみます。
昨日の表と見比べながらどうぞ。
全体的な違いでわかりやすいところでは、Eee PC が価格を下げるために、今日びの PC にしては解像度を抑えめにしているのに対し、富士通とソニーは、S101 よりも軽く、液晶ディスプレイの解像度も高めにできています。モデルによっては Windows XP ではなく Vista を搭載してきています。
WILLCOM D4 との共通点
Windows Vista を搭載しつつ、XP 搭載マシンの S101 とバッテリー持続時間はほぼ同等なのに、実は積んでいるバッテリーは少ないため軽量になっているという現象が起きています。これは CPU の違いによるところが大きいでしょう。
CPU は Atom N270 に対して Z530/Z520 のどちらかを搭載しています。N270 との違いは TDP が低く発熱量が抑えられること (N270: 2.5W, Z530/Z520: 2.2W)、かつ低消費電力であることです。熱くならずバッテリー長持ちというわけです。
でも…そういえば私がかなり食指を動かされながらもボツった WILLCOM D4 も Z520 なんですよねぇ。
なんで標準バッテリー時 1.5時間しか持たないんだろう…と改めて調べてみると、バッテリー容量が少ないのでした。標準バッテリーで 980mAh しかありません。ユーザー離れを防ぐために、キャンペーンでつけた大容量バッテリーは 2880mAh で、奇しくも LOOX/U とほぼ同等です。
Atom + Vista は、スマートフォンサイズでは厳しく、UMPC サイズでバッテリー持続時間のバランスが取れ始める、というところでしょうか。それを考えると、WILLCOM D4 はかなり野心的ながら、コンセプトづくりの詰めを誤った実に惜しい端末という気がします。
Bluetooth と無線 “W”AN にも差が
Bluetooth 2.0 -> 2.1 の違いは省電力化とペアリングの簡略化のようですが、Bluetooth 対応マウスやらイーモバイルの Bluetooth 対応スマートフォンをつないだときのバッテリーの持ちが良くなるのでしょうか。
無線 LAN じゃなく無線 WAN というのも何となく聞き慣れないコトバですが、国産メーカーである強みで、いずれもドコモの FOMA HIGH-SPEED の端末を内蔵しており、外付けでデータ通信専用端末をつけなくても通信できるのは大きいと言えるでしょう。
(余談: PC のせいじゃありませんが、ドコモの定額データ割適用時で 6,720円 (税込) という金額は、もうひとがんばり、という気はします 😮 )
日本らしい “全部入り” で勝負の国産メーカー
軽くて、ひとつ高いレベルでの全部入り、という印象を受けるのが LOOX/U と VAIO type P ですね。それと引き替えに価格が 10万円前後の価格帯に突入してしまっているのはちょっと残念です。
しかし Eee PC シリーズや Aspire One のような台湾メーカー勢が、すでに 5万円前後の価格帯で地歩を固めてしまっている印象があり、Atom チップ以上にドラスティックな変化がない限り、誰がどう作ってもこの値段ではこのスペックしかない、といっても過言ではありません。
国産メーカーは国産メーカーらしく、差別化を図ったというところでしょう。
しかし、バッテリーの持ちが驚異的に伸びたのは、バッテリーの改良ではなく、能力を限定した Atom CPU を搭載したからで、デスクトップ PC ほどサクサクは動かない、という事実をあまり知らず、
「最近のノート PC ってみんな 5万円前後で買えちゃうんだ。100円 PC ってのもあるし。しかも小さくて良いねぇ」
と、ローエンドのコモディティ化した PC だけを見て、これが PC のすべてだと思ってしまった一般の消費者に、10万円前後の商品がどれくらい訴求するのかは疑問です。
バッテリーに関しては、利益のすぐに出ない研究開発にはなかなか投資しにくいご時世ですが、リチウムイオンバッテリーに替わるものがそろそろほしいですね。燃料電池内蔵モデルを最初に搭載してくる市販モデルがドコモ携帯なのか、ノート PC なのか、といったあたりも興味津々です。 🙂
次回は、そんなこといいつつ Sony VAIO type P が一応気になるので触りに行ってきました 🙂
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