SD 画質と HD 画質について前回書きました。仮に HD 画質に手を出した場合に、避けて通れないのが AVCHD という用語です。
テープに記録するのが当たり前だった DV と、HD 画質の HDV
例えば、昔からある、DV は、テープに記録するものと決まっていて、ファイル単位で HDD に記録しデジタルビデオ編集するためには、どうにかして PC に読ませる必要がありました。例えば、カノープス (現トムソン・カノープス) の DVRaptor のようなビデオ編集ボードを使って PC にデータを読み込ませて、やっと Adobe Premiere などのソフトで編集できる状態になっていました。
DV は SD 画質時代のものと思われがちですが、実は規格自体は HD 画質でも記録できるようになっていました。しかし、データ量が大きくなってしまい扱いづらく、HDV という規格ができました。DV と同じ MiniDV テープに書けるのでコストパフォーマンス的には良いのですが、テープデバイスを無意識に避けてしまうのは私だけではないはずです。
AVCHD 規格を考える時に必要な 3つの要素
そこで、AVCHD は HD 画質のデータを記録するためにパナソニックとソニーが策定した動画記録フォーマットです…といったことが Wikipedia に書かれていますが、動画の規格は使われ方も含めて考えると、次の 3点を考える必要があります。
- 記録メディア … 物理的に「何」に記録してあるか。DV, HDV はテープオンリーですが、AVCHD では、DVD、Blu-Ray ディスク、HDD、メモリに書き込めます。
- コーデック … 映像と音声をどんな方法でデジタルデータ (符号) にするか。一般に MPEG-1, MPEG-2 などがありますが、AVCHD では H.264/MPEG-4 AVC です。
- ファイル名の拡張子 … メディアに 1~数本のファイルとして書き込むときの拡張子です。mpg (mpeg), avi などがありますが、AVCHD では .m2ts という拡張子になります。
高度なコーデック H264/MPEG-4 AVC は金食い虫
3 つの中では、コーデックというのが目で見える形にしにくいので分かりにくいですね。
動画データ (と静止画) は、カメラの「目」にあたるイメージセンサから取り込んだ生のデータをそのまま逐一記録してしまうと、情報量が巨大すぎて、テープや DVD などのメディアを何枚も消費してしまいます。そこで圧縮が行われます。
まず人の顔の静止画 1フレーム分を圧縮するとします。たとえば JPEG の場合、人間の目は、
- 輝度の変化には敏感だが色度の変化には鈍い
- 高周波成分には鈍い (狭い範囲で急激に変化するヤヤコシイ絵を見ても、捉えきれない)
という苦手分野があることを利用して、色の表現を丸めて省略したり、高周波成分をカットして捨てたりして、人間様の目で見破りにくい程度にデータを割愛して量を減らします。
さらに、動画になると、フレームどうしの圧縮を行います。動きが少ない背景は「前のフレームと一緒」とみなして以下省略し、人や物など移動している物体については、動きの特徴だけを記録したものが MPEG です。
コーデックは、こうした静止画 / 動画の圧縮手法 1そろい1セットに付けられた名前だと思って良いでしょう。 色々なコーデックがあり、MPEG シリーズの中では、MPEG-1, MPEG-2, MPEG-4 の順にだんだん圧縮方法が高度になり、映像/音声データをよりコンパクトに格納できるようになります。複雑なことをやっているわけで、PC で編集する際により高速な CPU、メモリなどが必要になっていきます。
そう、AVCHD は、Core 2 Duo 世代のハイエンド PC をもってしても「重い」ようです。
配るには時期尚早、アップするにも巨大すぎる AVCHD 動画
AVCHD の良い点は、HD 画質 = Blu-ray ディスクと決めつけずに、従来の DVD メディアにも書けるところにあります。メディアが DVD だったら、楽勝で HD 画質を人に渡して、友達の DVD プレイヤーで見てもらえるじゃん…と思いがちですが、そうではなく、AVCHD 対応のプレーヤーである必要があります。
さらに、もともとの動画の見せ方を考えると、Youtube や Soapbox など動画投稿サイトにアップしようとしたかったのでした。しかし、AVCHD で記録した膨大なデータをそのままアップしても送信時間がかかるので、結局、ビデオカメラ付属のツールで WMV もしくは MPEG-2 形式に変換し、せっかくの HD 画質をごっそり落とす必要があります。
配ることもできない、アップするにもデカい、となると、AVCHD で記録できるのは現状、自己満足に過ぎないんじゃないか…とも言えます。
とまあ下調べはこれくらいにして、あとは店頭で触ってみたフィーリングということで、実際に店頭で SD 画質のカメラと、HD 画質のものを見比べてみることにしました。
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