2016年10月フォトマスター検定EX に合格しました。実績と作品と小論文が必要とされる最上位のフォトマスター試験について。

9月末に提出、9/20 にはもう第一報 (写真左) が来ていて、10/15 には合格証 (写真右) が届いていました。審査は比較的早いようです。

フォトマスターEX: 試験結果 合格証書

選択試験じゃないんです

前回のフォトマスター検定 1級の時は、前職の社員旅行のバスの中で勉強していましたが、今回は転職直前。出社日の 4日前に提出という、また人生綱渡りなスケジュールでした。

そしてフォトマスター検定EX (以下 “EX”) は、まずその 1級に合格してはじめて受験資格が得られるんですが、試験のスタイルは大きく違います。

試験会場に行って選択肢に答えるのが 3〜1級までですが、違うんだな。EX は書類を色々と提出して、それが審査されるのです。

「写真・カメラ全般における高度な実用知識を有していることを前提として、写真の達人としての安定した作品創作力、指導性を評価し、認定」するこの試験、一筋縄ではいきません。

「ポートレート」か「人物」か

EX は受験するにあたって、なんの専門撮影ジャンルで受けるかが選べるようになっています。

公式ページでは風景、花、人物となっています。独自に調べた範囲では「ポートレート」というジャンルを指定する方も多い模様。

アンタ、女性ポートレート専門じゃないの? と言われそうですが、私が目指しているのは実はポートレートじゃなくて、人物写真だったりします。

ということで、フォトマスターEXの公式にうたわれていないポートレートを手堅く攻めるよりも、俺は人物写真なんだと主張する方向を、ハードルは上がりますが目指すことにしました。

私が提出したものの方向性を書いておくので、参考になればと。

教えたか、発表したか、受賞したか、の経歴

これがとにかく大変でしょう。公の場で写真でアウトプットを出した実績を問われます。

2013年に1級を取って、EX合格が2016年。丸3年かかったのは、実績を積み上げるために他ならないのです。

実際に提出した「写真活動関係経歴書」。

フォトマスターEX: 写真活動関係経歴書

書くべき項目としては次の 3ジャンルがあるのですが、

  • 講師等の指導経歴
  • 受賞経歴
  • 個展など作品発表経歴

最低 1ジャンル以上書けば OK ではあります。

私は指導経歴はないのでバッサリあきらめて、受賞経歴と作品発表経歴で得点しようとしました。

しかも証明書類添付、という欄があるとおりで、「受賞しました」と書くだけじゃダメなんです。

全東京写真連盟の月例フォトコンテストに、2年連続 3位の成績を残したことと、賞状の写真。

全東京写真連盟: 賞状: 2016年8月表彰分

全東京写真連盟: 賞状: 2015年8月表彰分

全国誌のフォトテクニックデジタルへの掲載。

フォトテクニックデジタル 2015年8月号 Garden

  • 2年にわたって、ほぼコンスタントに受賞できる安定性
  • 全国的に知られたコンテストで受賞できるトガり

の2軸をアピールしようというわけです。

ポートレートではなく人物、なので、受賞歴として人物スナップが東京フォト・サロンの大賞グランプリを取ったこともアピールしておきます。

東京フォト・サロン 2015年大賞グランプリ「したり顔」

受賞作品を出してはいけない

そして作品提出。

これは過去に受賞しました、ではなく、フォトマスターEX の審査員の方への実技アピールです。

最初フォトコンの受賞作品を出せば一石二鳥では…と思って、受賞作品から厳選していたのですが、応募用紙が届いて真っ青

過去にコンテスト等で入賞された作品は除外、と応募要領に明記してあったんです。

げげげ。

作品は5点提出 (ジャンル指定の場合) で、自家プリントなら A4 で OK です。が、この 5点が非常に難しい。

合格の基準はなんとも書かれていません。フォトテクニックデジタルでもない、全東京写真連盟でもない、フォトマスターEXとしての基準を、今いちど1級の試験問題を思い出して想像するしかありません。

とはいえ全東京写真連盟の公開審査等で、審査員の先生が共通的に NG としそうな即落ちポイントはあります。それに触れている写真は、どんなに良い写真でも除外。

かつ、女性ポートレートだけにならないように、「人物」写真で、しかも周囲の評価が高い写真を入れました。

そんなに超自信作はポンポン撮れないし、撮れていたらだいたい応募済なので、この作品提出はもっとも悩ましいですね。

原稿用紙 3枚で写真を語れ

最後にこれ。文章書くんです。

400字詰め原稿用紙がガッツリ送られてきて、800字以上 1200字以内ですから、3枚目の途中までは書かないといけない。お題が 1つだけ指定されるので、それに沿って書きます。

フォトマスターEX: 小論文

私の場合は「優れた作品とは何か」でしたが、毎回タイトルは違う可能性はあるのであしからず。

ジャンルに合わせて、「優れた人物写真とは」と読み替えて持論を展開します。小論文単品で読んで終わりではなく、主張している内容が、提出作品を合わせて見てもらうと「ああそういうことね」と納得してもらえることを前提に構成しています。

私はもともと文系ですので、つらつら書くのは大好きですが、フォトコンに出す名うてのフォトグラファーでも、タイトル付けには相当苦労するようなので、文章が関門だという人は多い気がしますね。

公私ともども次のステージにきた模様です

懲りずにフォトコンテストに出し続けたり、色々と勉強して、自分なりのスタンスについて考え続けたりした節目として、ひとまず評価されて良かったと思います。

検定事務局では、EX合格者に期待していることがあるらしく、それはそれでお手伝いできることがあればと思っています。

本来ならここで、後進の育成に励みます…!と締めるところなんですが、出版業界に転職後、プロフォトグラファーの、レベルが数段ちがう人物写真に接するようになりました。

EX の目指している「写真文化や関連業界のさらなる発展と活性化」に、ある意味貢献する仕事にはなりましたが、余計に「で、お前が自分で撮りたい写真は何なの?」を考えさせられることも多い昨今。 🙂

CTO としての仕事の合間に、それはそれで追求していこうと思います。