エプソン用紙体験モニターキャンペーンで送られてきたフレスコジクレー (Fresco Giclee) で実際に印刷してみる後編。
手袋をして、厳かに Type R / Type S を各 1枚ずつ取り出してみます。
- 上 … Type S (Smooth). 表面が比較的スムーズ
- 下 … Type R (Rough). より表面がゴツゴツと荒い
そのまま給紙トレイに入れてはいけない
コツは月めくりカレンダーを平らにならす時と同じで、裏返しにして、フチをクルクルと丸めます。しかし小さい半径で曲げすぎても漆喰面が割れるので、力加減が必要です。
よし平らになった…と思っても、いきなりプリンタにセットしちゃダメです。説明書を読みましょう。
印刷面に漆喰粉が付着している場合があります。漆喰粉は白抜けの原因になりますので、印刷前には必ず柔らかい刷毛 (製図用など) で漆喰粉を払ってください。
ここでウワサの刷毛登場。表面を軽く払います。
劇的ビフォー・アフターで壁が取り壊される家みたいに、ホコリがもうもうと立ち込め…という図を想像していたんですが、そんなに大騒ぎするほど漆喰粉の付着は認められませんでした。ひと通り全面をサッサッと払ったあとは、表面をよく光にかざしてみて、1ドット平らじゃない箇所だけ再度払えばいいように思えます。
プリンタなのに、この工程だけやけに美術工芸品の味わい。
では、あらためて PX-5V の前面給紙トレイから静かに紙を差し込んでいきます。紙のクセが完全に取りきれなかったらしく、1回ではすんなり入りませんでした。入念に紙の隅を丸めなおしてリトライ。
では印刷です
セット完了。フレスコジクレー、PX-5V の後ろにそびえ立っています。
今回、フレスコジクレーを活かすためにモノクロ写真を印刷することにします。
用紙は UltraSmooth Fine Art Paper にせよというので、変更。
PX-5V はフォトブラック / マットブラックインクを両方搭載していますが、紙に合わせて切り替え作業が発生し、その時にインクを消費します。フレスコジクレー = マット紙に切り替える時のインク残量の変化はこんな感じ。
無事に印刷が始まって、紙が下から出てきました。
一番心配したのは、プリンタの紙送り部が白い粉で大変なことになるのではという懸念でしたが、別にどうということはありませんでした。
何のためにフレスコジクレー Type R / Type S を使うのか
印刷してみるまで、この紙のご利益がピンと来ませんでしたが、実際にできあがった絵を見ると、
平らなはずの写真に立体感や素朴な手作り感を付加できる
のが、この紙の良さのようです。
実際に印刷したもの。上が Type S, 下が Type R です。
ちなみに写真は、昨年東京フォトサロンで入賞した作品「こども探検隊が通る」のモノクロバージョンで、印刷前に、用紙の特性を考慮してレタッチを施してあります。
紙をさらに撮影しても正直分からんのですが、個人的に受けた印象。
- Type R … キメの粗い用紙のテイストが際立っている。大げさに言うとワニ皮みたいな表面。ゴツゴツとワイルドさを出したい絵には向いていそう。
- Type S … R とくらべてキメが細かく、高級わら半紙な感じ。R よりは印象的でナイーヴな絵に向いていそう。
Type R は (表面の目が荒いので) 風景写真に、Type S は (キメが細かいので) 人物写真に向いていることになっていますが、実際に使ってみた感想としては、被写体が何かが重要なのではなく、根本的にその写真で表現したいテイストが「ラフ」か「スムーズ」向きかで紙を選んだほうがいい、というのが感想です。
「タフな探検が待っている」イメージの写真なら Type R の方が合っていそうなのと、「ちゃっかり」ロゴがフレスコエンボス調になって良い感じでした。
宿題として 1枚、フレスコジクレーで印刷した作品を事務局に提出。これがモニターの条件だったので、保存版の Type R は残して Type S の方を発送しました
人生で初めて、インクを大量に使った A3 ノビプリントがフレスコジクレー、というのはカラダを張りすぎたようです。
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