iPhone 4 機種変更の続きです。2年縛りのある WiFi バリュープランからパケットし放題フラットに変更は可能なんでしょうか。ソフトバンクとのやりとりを通して感じた現場の混乱が、将来的な SIM ロックフリー対応でもっと助長されるだろうという話。
WiFi バリュープランから「パケットし放題フラット」に変更は可能か
iPhone 4 での契約で問題なのは料金プラン。
料金プラン | パケット定額 (月額) |
無線 LAN 定額 (月額) |
月々割額 | 縛り | 解除料 |
---|---|---|---|---|---|
標準プライスプラン | 1,029円~4,410円 | 490円 | 1,440円 | 2年間 | 9,970円 |
WiFi バリュープラン | 4,410円 | 0円 ((2010年10月までに契約すれば継続して無料。それ以降の契約分は 490円)) | 1,920円 | 2年間 | 9,970円 |
パケットし放題フラット | なし | なし | なし |
標準プライスプランは、月額が 1,029円~4,410円の 2段階料金制で、使わない月は 1,029円のパケット通信料で安くあげることができる…はずですが、スマートフォンでは特に、ちょっと使うとすぐ金額上限まで達してしまいますから、あまり意味がありません。
対して「WiFi バリュープラン」は常に 4,410円。半年前 iPhone 3GS に加入したときのデータ定額サービスです。パケット通信料がいつも標準プライスプランの “上限” に張り付いている代わりに、月月割の金額が月 480円アップします。2年間無事に契約し続けたとして、480円 x 24ヶ月 = 11,520円の節約になるわけです。
「パケットし放題フラット」は、現在「WiFi バリュープラン」に替わってデフォルトで勧められているプランです。違いは2年縛りがないこと。何となく安くなったような気がしますが、契約解除料のリスクがないだけで、パケット通信料や月月割増額はまったく同じです。
店員: 「お客様の場合はすでに WiFi バリュープランに入っておられますので、このまま継続となります」
Nire: 「iPhone 4 機種変更時にプラン変えられないんですか?」
そのまま縛られるのがいささか残念だったので、聞いてみました。
店員、しばらく社内の料金部門らしきところに電話で相談すること数分。
店員: 「お待たせしました。お客様のような場合は、契約解除料なしにパケットし放題フラットに乗り換えられるようです」
Nire: 「おお、そうですか。ぜひお願いします」
Twitter で縛りに関しては厳しい意見がソフトバンクに寄せられているからでしょうか、ちょっと柔軟になっていますね。
ソフトバンク側からみると、契約期間にもよりますが、Nire の場合 18ヶ月 34,560円分の iPhone 3GS 月々割額を “補助” しなくて良くなるわけですから、契約解除料 9,970円の足かせぐらい外しても損ではないはずです。
これですべての 2年縛りが無くなったわけではない?!
ソフトバンクの場合、2年縛りには 2種類あり、どうも 2010年4月27日を境に「何に対して 2年縛りが適用になるのか」が変更されたようです。
ソフトバンク携帯の月額使用料は、他の携帯通信事業者と同様、基本使用料とパケット定額プランの 2階建てになっています。((実際には S! ベーシックパック 315円/月がかかっているので 3階建て))
2年縛りの対象 | 2010年4月26日 「以前」 に契約 |
2010年4月27日 「以降」 に契約 |
---|---|---|
基本使用料 | 縛りなし ホワイトプラン (i) |
2年縛り ホワイトプラン (i) |
パケット定額プラン | 2年縛り WiFi バリュープラン |
縛りなし パケットし放題フラット |
常にどちらかに 2年縛りの呪文がかかっていて、いずれにせよ中途半端なタイミングで契約解除すると、解除料がかかるようになっています。
さてここで問題です。
- 2010年2月に新規契約 (ホワイトプラン (i) + WiFi バリュープラン)
- 2010年8月に契約変更 (ホワイトプラン (i) + パケットし放題フラット)
した私の場合、2年縛りはまったく無くなるのでしょうか?
もしかしてホワイトプラン (i) 側に 2年縛りがかかるんじゃないの? とも思えたので、別のソフトバンクショップに立ち寄って聞いてみました。
店員2: 「いえ、ホワイトプランを以前ご契約いただいたお客様に、あとから 2年縛りがかかることはありません。しかし、お客様の場合 WiFi バリュープランが残っているため、そちら側に 2年縛りがかかります。必ず、どちらかに 2年縛りがかかるようになっています。」
おいおい、WiFi バリュープランは止めたんじゃないのか? 無線LAN 通信専用の契約が生き残っていて、それが 2年縛りになっているとか?
どうも矛盾しているので、さらにソフトバンクの電話でのお問い合わせ窓口 157 にかけて確認してみました。
1ヶ月だけの過渡的な状態らしい
Nire: 「…..と、ソフトバンクショップに言われたんですが、本当でしょうか?」
電話窓口: 「いいえ。WiFi バリュープランが月単位での解除しかできないため、2010年2月11日に新規契約、8月19日に機種変更されたお客様の場合、9月11日から WiFi バリュープラン → パケットし放題フラットに変更になります」
Nire: 「つまり、9月10日までに契約解除すると 9,975円かかる。9月11日以降解除するとかからない。ということですね?」
電話窓口: 「はい、そうなります。」
言ってることが窓口によって異なり混乱しますが、電話お問い合わせ窓口の説明が正しければ、2010年4月26日以前に iPhone を契約、その後 iPhone 4 に乗り換えると、2年縛り外しが可能になる、ということになります。
すごい裏技のように思えますが、iPhone 3GS の残金は払うことになるので、差し引き黒字になるわけではないので悪しからず 🙂
料金プランが複雑すぎて現場も混乱している
それにしても料金プランが複雑すぎて、6月の iPhone 4 予約時と同様、現場のソフトバンクショップがついて行けていないように見えます。
ソフトバンクは、24時間以内に他社料金プランに追従するといった公約を一時期掲げていたり、Twitter で顧客からの声に社長が即応するという画期的なマーケテイング手法を打ち出したりして、脚光を浴びています。
しかし「やりましょう」の一言で新料金プランやキャンペーンは素早く打ち出せても、既存の料金プランを利用している顧客は、2年サイクルで古いプランにとどまり続けます。それをどうにかして新プランに早期移行させ、料金プランの総数を一定数以下に保たないと、ソフトバンクショップや料金部門は処理し切れず、いずれ大きなトラブルを引き起こします。
SIM ロックフリーでさらに複雑化する
2007年に総務省から販売奨励金の指導が入ったとき、au は「フルサポートコース」「シンプルコース」の 2種類を打ち出しましたが、顧客に割高感だけが残り、自ら加入者減少の引き金を引いてしまいました。
次にくる波は SIM ロックフリーでしょう。ソフトバンクもいずれ iPhone SIM ロックフリー版などに対応せざるを得なくなるでしょうが、au を反面教師にして
「端末が高くなったと思わせない巧妙で複雑な料金体系」
を打ち出してくることが予想されます。SIM ロック端末用の既存料金体系、SIM ロックフリー端末用の新料金体系の 2カテゴリーが存在することになり、社内での管理コストが重圧のように重くのしかかってくるのではないでしょうか。
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