UQ WiMAX は不利な周波数帯を使っている – では LTE は?

Try WiMAX 番外編。UQ WiMAX が 2.5GHz 帯を使用しているために、電波の減衰が激しいとはどういうことでしょうか。さらに、LTE ではどんな周波数を利用する予定なのでしょうか。

携帯無線通信用に割り当てられている周波数帯は、通信事業者によって差があります。

比較リスト。

NTT ドコモ 800MHz (ムーバ、FOMA プラス)
1.5GHz (シティフォン)
1.7GHz (FOMA)
1.9GHz (FOMA)
2.1GHz (FOMA)
au 800MHz (cdmaOne / CDMA 2000 1x)
1.9GHz (CDMA 2000 1x)
2.1GHz (CDMA 2000 1x)
ソフトバンク 1.5GHz
2Ghz
イーモバイル 1.7GHz
UQ WiMAX 2.5GHz

電波は周波数が高いほど直進性が高くなり、市街地のように建築物が多いと遮られて通信できない場合が増えてきます。雨に対しても若干弱くなります。

周波数が低ければ、回折したりしつつ電波が届きやすくはなりますが、同一帯域内で送れる情報量が減少し、高速無線通信に向きません。無線通信における符号化方式の発達などにより、以前より同一帯域内に「より多くの情報を詰め込む」ことで、この点をクリアしていきます。

イーモバイルの Pocket WiFi と、UQ WiMAX の UD01OK を持ち歩き比較して、明らかに Pocket WiFi の方が「粘り腰」でなかなか電波が切れないのは、基地局数 9,039 vs. 7,644 という微妙な差以外に、そもそも周波数帯という「土俵」からして不利だ、っていうのはあると思います。

700 / 900MHz 帯の争奪戦

周波数帯はトレードオフの結果、現状もっとも都合が良いのは 800MHz 帯近辺というとこで、自然とこの辺りの電波の争奪戦が起きます。

2010年3月に行われたばかりの総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 携帯電話等周波数有効利用方策委員会では、Mobile WiMAX Rel 1.5 として「700/900MHz 帯を使用するWiMAXシステムの提案」 [PDF]が行われています。この相変わらず名前の長い委員会、ソフトバンクモバイル、イーモバイル、UQ コミュニケーションズと、700/900MHz 帯を虎視眈々と狙っている通信事業者が似たようなテーマで「だから我が社に電波の割り当てを!」的なプレゼンが続きます

LTE はなぜかイーモバイルだけ違う帯域

では 3.9G (LTE: Long Term Evolution) の割り当てはどうでしょうか?

2009年6月に総務省が認定した基地局開設計画によると、

NTT ドコモ 1.5GHz
au 800MHz
1.5GHz
ソフトバンク 1.5GHz
イーモバイル 1.7GHz

宇 
NTT ドコモ、au、ソフトバンクともに 1.5GHz を確保しつつ、さらに au は 800MHz 帯を優先したい考えを示しています。そりゃ可能であれば 800MHz の方が「つながりやすい LTE」をより少ない設備投資で実現できるし、好都合でしょうね。

イーモバイルだけ 1.7GHz なのがやや謎ですが、これは他事業者 3社とのコンペに負けたというより、3.5G で 1.7GHz をすでに使用していて、同一周波数帯が LTE でも使えた方が、追加設備投資額が減るからだと思われます。

昔のシティフォン帯域で LTE

昔ドコモの携帯 Mova で 800MHz 帯の利用が主流だった頃に、シティフォン 1.5GHz 帯対応機が「つながりにくい」と散々こきおろされていたことがありますが、LTE 時代ではその 1.5GHz 帯がメインになっていくのですね。

ぶちぶち切れる LTE にならなければ良いのですが。 🙂

1件のコメント

  1. おで

    雨にも弱いけど、水辺にも弱いので海辺と水田はちょっと苦手ですね。

    au の 4G 800Mhz は音声で使いたいって話じゃなかったでしたっけ?
    先日の SIM フリー議論のプレゼンで au のヒトがそんなこと言ってたような。

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