仮想化環境としてお互いに相容れない Hyper-V と VMware Server は、1台の PC で共存できるのでしょうか。デスクトップ PC から「お下がり」としてサーバ用に転用した Core 2 Duo マシンに、Windows Server 2008 R2 をインストールし、既存の Virtual Server で稼働している仮想マシンを移行しつつ試してみました。

Core 2 Duo PC なら Hyper-V にしとくでしょう、と

Pentium 4 時代は、こういう構成で、32ビット PC で可能な仮想化技術を 1台で 2種類同時に試してしまおう的な構成でした。

ゲスト OS Windows 系、Linux 系 OS
仮想化技術 Virtual Server 2005 R2 VMware Server
ホスト OS Windows Server 2003 / 2008 (32bit)
CPU Pentium 4 (Northwood)

Core 2 Duo は Hyper-V が動作する条件を満たしているので、Windows Server 2008 も 64ビット版にして Hyper-V にするのが普通でしょう。さらにご多分にもれず、同じ OS 上に VMware Server もインストールしようというわけです。

ゲスト OS Windows 系、Linux 系 OS
仮想化技術 Hyper-V VMware Server
ホスト OS Windows Server 2008 R2 (64bit)
CPU Core 2 Duo E6700

OS は、8月から MSDN サブスクリプションで入手可能になった Windows Server 2008 R2 を使用します。64ビット版だけの提供になったので、32ビットアーキテクチャの CPU では最早インストールすることができません。

Hyper-V のインストールは簡単

Windows Server 2008 R2 には Hyper-V が同梱 ((あえて Hyper-V 無しの若干廉価モデルというのもある。)) されていて、インストール自体は [役割の追加ウィザード] で簡単にできます。

Hyper-V: 役割の追加ウィザード

Hyper-V: 役割の追加中

VHD ファイルは共通、ただしアドオンは事前に要削除

Virtual Server では 1つの仮想マシンあたり 2本のファイルで管理していましたが、

  • .vmc ファイル … 仮想マシンに割り当てるメモリ、HDD、NIC といった環境設定ファイル。XML 形式
  • .vhd ファイル … 仮想ハードディスク。HDD 丸ごと 1本のファイルにダンプしたようなもの

Hyper-V ではこのうち .vhd ファイルは形式が共通なのでそのまま使えます。.ただし、事前に「バーチャルマシン追加機能」はアンインストールしておく必要があるのが注意点でしょう。Virtual Server 環境は最低でも 1台残しておかないと泣きを見ます 🙂

.vmc は使えないので、新たに拡張子 .xml のファイルをウィザードで作成する必要があります。

Hyper-V が動くはずの CPU でも動かないことがある

こうして、Virtual Server からさくさくと引っ越してきた仮想マシンを起動してみましたが、

Hyper-V: Hyper-V マネージャー: ハイパーバイザーが実行されていないため、仮想マシンを起動できませんでした

「ハイパーバイザーが実行されていないため、仮想マシンを起動できませんでした」と言われて起動できません。第一の関門です。

良くしたもので、SecurAble というツールがあり、Hyper-V が動作するための 3つの条件が実際に満たされているかを確認することができます。問題の Core 2 Duo マシンでは、Hardware DEP (データ誤実行防止) がオフになっているとの指摘が。

SecurAble: Hardware D.E.P. is off?

実は、P5W DH Deluxe マザーボードではデフォルトで OFF になっている模様。BIOS でオンにします。

AMI BIOS: Execute Disable Function: Enabled

BIOS 設定のうち、どれが肝心の DEP に関する設定なのかが分かりにくいところです。DEP という表現はおそらく Microsoft 寄りの表現だと思われ、BIOS にその通り DEP と書いてあるわけではありません。P5W DH Deluxe の場合は Execute Disable Function となっていました。この辺は頑張って探すしかないでしょう。

再度 SecurAble で、DEP が ON になったことを確認します。

次回は VMware Server のインストールと、共存可能かどうかのテスト編です。

つづく。