CPU の制約でやむを得ず VMware ESXi 3 と ESXi 4 の混在環境を作りました。問題は仮想マシンのバックアップ / リストア時の「クセ」が、バージョンによって異なるのが厄介です。まずは手段にどんなものがあるかと、Read-only アクセスの罠について。

ESXi バージョンごとに、できる / できない操作

まずは総まとめから。ESXi 3つのバージョンを用意して、バックアップ方法をさんざん取っ替え引っ替え試してみました。

ESXi 3.5 U2 ESXi 3.5 U4 ESXi 4
vCenter Converter による接続 できる
Remote CLI (RCLI) による接続 できる
SSH による接続 できる (サポート対象外)
データストア ブラウザの使用 できる
RCLI / SSH
でデータストアから読み出し
できる
RCLI / SSH
でデータストアへ書き込み
できる できない (Read only)
vCenter Converter / データストア ブラウザ
でデータストアから読み出し
できる
vCenter Converter / データストア ブラウザ
でデータ ストアへ書き込み
できる
local → Converter → ESXi
固定ディスク (zeroedthick) 作成
できる
local → Converter → ESXi
可変ディスク (thin) 作成
できない できる
データストア上の
仮想ディスクを可変ディスクに変更
RCLI で可能 Read-only のため不可能
ESXi → データストア ブラウザ → local
可変ディスク (thin) 作成
不明 できない
容量固定になる
ESXi → Converter → VMware Server
可変ディスク (thin) 作成
できる

ESXi 仮想マシンの”バックアップ” 方法には 4種類ある

仮想マシンのバックアップ / リストアというと、VMware Server ならホスト OS が動作しているため、Windows ならエクスプローラなり、copy コマンドなり、好きな手段でフォルダごとバックアップ先にコピーすることができます。

ところが VMware ESXi ではホスト OS がないのが厄介で、ESXi の流儀に従う必要があります。VMware は管理スイートが高いので、無償でできる範囲で、という条件では 4つの方法があります。

  • vCenter Converter
  • データストア ブラウザ
  • Remote CLI の使用
  • SSH の使用

VMware vCenter Converter

本来は仮想マシンの変換ツールですが、バックアップツールとしても利用可能です。無償で可能な方法の中ではもっとも VMware の流儀に従った方法といえそうですが、ただしすべての操作を手動で行う必要があり、毎日自動的にバックアップといった機能はありません。

データストア ブラウザ (datastore browser)

エクスプローラ的にファイル操作できる機能です。vSphere Client (VI Client) から任意の datastore を右クリック ((ESXi 4 の場合。ESXi 3.5 U2 ではダブルクリック)) すると開きます。

VMware vSphere Client: 4.0: データストア ブラウザ

VMware Infrastructure Remote CLI (RCLI)

文字通りコマンドライン インターフェースで、Virtual Appliance として ESXi に新しい仮想マシンとして追加するか、管理用クライアント PC の Windows にインストールするかして使います。

SSH

一種の裏技で、ESXi ホスト PC そのものに SSH でリモート接続します。デフォルトではできず、サポート対象外の方法です。やり方は略。

Read-only で管理のオートメーションに制限が

上記 4つの方法どれを使っても、ESXi サーバに接続すること自体は可能です。

特に RCLI を使った自動的なバックアップの方法は広く行われていたようです。

リストア、正確にはデータストアに書き込んだり、変更を加えたりする操作は ESXi 3.5 U4 になってからできなくなっているようです。

この混乱に対して、VMware 社の VMware ESX and ESXi Comparison という ESX / ESXi の比較表を見ると、ESXi にのみ Read-only アクセスになるという説明があります。

ESXi は全体でわずか 32MB 程度で、他の管理用クライアント PC からvSphere Client で管理する必要がある代わりに無償です。それに対して、”i” のない ESX という有償バージョンがあり、こちらはローカルで管理も一通り可能、ただし有償です。

念の入ったことに、ESXi であっても 60日間の評価モード (evaluation mode) であれば、何の問題もなく ESX と同等に制限なく Write アクセスができます。

たっぷりと仮想マシンを作って堪能して、管理のためにスクリプトを書いてみたあたりで評価期限が切れ、以降、自動的に管理したいなら、その有償の ESX をお買い上げください、というわけ。何という絶妙なチラ見せ商法でしょうか。 🙂

容量固定ディスク (zeroedthick) と可変ディスク (thin) の話は次回。

つづく。