PIE 2009 の Panasonic ブースで、デジタル一眼カメラ DMC-GH1 の背面の液晶モニター (ライブビュー) を見たり、ファインダーをのぞいてみた私は、あることに気がつきました。
背面の液晶モニター | LVF (ライブビューファインダー) |
動画撮影時だけ、液晶ファインダーの描画コマ数が低下する
Nire: 「静止画撮影モード時だと、そんなにファインダー内の液晶も違和感感じませんが、動画撮影モードだと、いきなりカクカクとコマ数落ちてますよね?」
Panasonic: 「(相談中) そうですね。秒間 24コマでフル HD 画像というのはかなり処理的にタフ ((tough: 頑丈なんじゃなくて、キツい、重い処理だということ)) なので、コマ数落ちています。」
Nire: 「でも、背面の液晶モニターだと、動画撮影中も普通に見られるクオリティですけど。電子ビューファインダーだけ、明らかにコマ数が落ちているように見えます。」
Panasonic: 「(相談中) … 液晶の違いですね。ファインダーの液晶はフィールドシーケンシャル方式と言いまして、一つのピクセルが RGB 兼用になっていて、時間で RGB, RGB… と切り替えていきます。これに対して一般的な液晶は、平面に R, G, G, B という風にピクセルを並べてあります。」
狭いファインダー、小さな液晶で十分な解像度を得るために、このような方式を取っているそうです。背面の液晶モニターは (面積の制約が少ないので) この方式ではないとのこと。
Nire: 「RGB 3層のレイヤーを重ねてあるわけでもないんですね?」
Panasonic: 「ではないですね、一面です。フィールドシーケンシャル方式の良い点は、同じピクセル数でも表示できる画素数が上げられるんです。平面に 3色バラして配置する必要がないので。
その代わり、時間によって色を切り替えているので、カメラをすばやく振ったり動きの速い被写体を取ったりすると、ついていけずに色の残像が残ることがあります」
振ってみました。「ロ」の字を分割したような白いセンターマークが常時表示されていますが、カメラを振った瞬間に、ズレた位置に、遅れるように緑の残像が表示されます。」
フィールドシーケンシャル方式では、原理的に、通信の世界で言う「時分割多重」状態で一つのピクセルに RGB を繰り返してチラチラと表示させているために、小さなエリアに高い解像度の絵を表示できる代わり、コマ数がやや犠牲になっているようです。
お話を伺うかぎり、
- フィールドシーケンシャル方式ゆえのデメリット
- フル HD 画質の動画を、LVF か液晶モニターにしつつ、ファイルにも録画しなくてはならない処理の重さと両方の制約
があるため、録画するほうの画質やコマ数をキープするためには、ファインダーは犠牲になっている、ということのようです。
液晶ファインダーの質は微妙だが、イヤなら液晶モニター見ればいい
ということで、以前みた FinePix S100FS の液晶ファインダーに比べて、静止画撮影モード時は見やすいような気がするものの、動画撮影モードにするとコマ落ちして気持ち悪くなる感じは否めないようです。液晶ファインダーの悪夢再びなのか。
まあ PC で処理しても重たい AVCHD 規格での録画処理を、コンパクトなボディの中で行いながらのプレビュー画面ですから、現状これが限度なのかもしれませんね。
店頭予想価格 15万円とちょっと高めのフル HD デジタルビデオカメラ程度に収め、初めて「もう動画性能をオマケとは言わせない」クオリティにしたのはあっぱれだと思いますし、LVF がイヤなら、ビデオカメラ状態と同様、顔を離してより大型の液晶モニターを見ながらでも撮影できる「二択」なわけで、LVF のコマ落ちは買う買わないにダイレクトに影響するものではないのかもしれません。
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