静止画を表示、印刷するのに必要なピクセル数について前回書きました。今度は動画についてということで、ビデオカメラの線で選ぶ場合の基本となる、SD 画質と HD 画質についてまとめてみます。

デジタルビデオカメラには SD 画質と HD 画質がある

TV やレコーダーに今アナログ放送用と地デジ用が混在して販売されているのと同じように、デジタルビデオカメラにも SD 画質 ((Standard Density: 標準画質)) と HD ((High Density)) 画質があります。特に 1920×1080 はフル HD、フルハイビジョンと呼ばれることもあります。

それぞれのピクセル数のカメラで撮って、カメラを直接 TV に映像出力したらどうなるでしょうか。

画質 ピクセル数 アナログ放送時代の TV に映したら デジタルハイビジョン対応の TV に映したら
SD 画質 640×480 表示できる 表示できるが、粗くなる
HD 画質 1920×1080
1440×1080
表示できるが、本来の画質を生かし切れない 本来の高精細度で表示される

つまり、SD 画質のビデオカメラを地デジ対応のテレビに映すことはできます。TV がアナログ入力を持っているためです。しかし根本的に情報量が少ないため、足りないところを補完して画面いっぱいに「引き延ばして」映すことになり、とても粗い絵に見えます。

逆に HD 画質のビデオカメラをアナログ放送用の TV に映すこともできます。カメラがアナログ出力を持っているのが普通だからです。

実際やってみると「昔の (SD 画質の) カメラより、絵がきれいだね」と思うかもしれませんが、TV の表示能力が上がったわけではありません。情報量の多い HD 画質を SD 画質にダウンコンバートしたほうが、もともと SD 画質分の 1:1 の情報量しかない素材より、実際の被写体の微妙なディテールを正確に表現できたり、ビデオカメラそのものの全体的なクオリティが上がったりしたことによるものです。

また、HD 画質のビデオカメラであっても、映す TV がアナログ放送用だったり、Youtube など動画サイトにちょっとアップロードするだけの場合は SD 画質による撮影モードに切り替えられるものがあります。

まとめると、SD / HD 画質どちらのビデオカメラを買っても映りはするけれど、得手不得手があることになります。

70,000円を境に SD / HD ビデオカメラで分かれる価格帯

HD ビデオカメラは、SD 対応のものと比べて光を受けるイメージセンサ (撮像素子)、処理するための回路設計、それを記録するメモリ、HDD、DVD、Blu-ray などの記録メディアに一段上のクオリティが求められるため、高価になります。

価格帯は SD なら 35,000円~70,000円とこなれてきているのに対して、HD は安くても 60,000円以上で普及価格帯は 90,000~100,000円台と、明らかにランクが違ってきます。

また、バッテリーはどちらでも同等の容量を持ったリチウムイオンバッテリーしか選択の余地がありませんが、SD 画質で撮るよりも電力消費が激しいので、撮影時間は短くなります。長くしようと思えば、標準のスタイリッシュな S型バッテリーを、巨大でぶかっこうな L型バッテリーに買い換える必要があるのは、MiniDV 時代の DCR-PC3 と同じのようです。

というわけで、販売店にいけば間違いなく HD 画質を勧めるでしょうが、キレイさはそこそこでいいから、安くてバッテリーの持ちがいいことを優先して SD 画質。ただし静止画撮影時は、表示や印刷して鑑賞できるピクセル数、という条件でさらに機種を探すことにしました。