今年の Eee PC ラインナップは、日本円で 10,000円単位でくまなくローエンドからハイエンドまでラインナップを揃えることに力を入れてきた感がありますが、ちょうどミドルレンジの一番売れ線モデルだった Eee PC 901-X を完全に置き換えるモデル Eee PC 901-16G が発表されました。

Eee PC の他ラインナップ、Aspire One と比較してみる

Eee PC 901-16G はミドルレンジということで、それ以外のラインナップやエイサーの Aspire One と比較してみましょう。

Eee PC 900-X Eee PC 901 Eee PC 901-16G Eee PC model S101 Aspire One
CPU Celeron M 353 (900MHz) Atom N270 (1.6GHz) Atom N270 (1.6GHz) Atom N270 (1.6GHz) Atom N270 (1.6GHz)
大容量記憶装置 SSD 16GB (8GB+8GB) SSD 12GB (4GB+8GB) SSD 16GB SSD 16GB ((Windows XP モデルは 16GB のみ)) , 32GB, 64GB HDD 160GB
無線 LAN IEEE 802.11b/g IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g
Bluetooth 未搭載 Bluetooth 2.0 + EDR Bluetooth 2.0 + EDR Bluetooth 2.0 ((EDR の有無は不明だが、AW-BT253 が搭載されているそうなので、たぶん EDR 有)) 未搭載
バッテリー駆動時間 4.3時間 8.3時間 8.1時間 5時間 3時間
搭載バッテリー 4セル 6セル 6セル 4セル / 4900mAh 3セル / 2200mAh
バッテリー充電時間 4.3時間 3.5時間 3.5時間 ? ?
価格 49,800 59,800
US$560
54,800 US$699 ((Windows XP 16GB モデル)) 54,800
重量 0.99kg 1.1kg 1.1kg 1.0kg 1.1kg
サイズ W 225mm × D 170mm × H 20mm W 225mm × D 175.5mm × H 22.7mm W 225mm × D 175.5mm × H 22.7mm W 264mm x D180.5mm x H18~25mm W 249mm x D 170mm x H 29mm

Eee PC 901-X の弱点だった SSD を完全に補強する

7月12日に日本で発売された Eee PC 901-X は、今まで書いてきたとおり、SSD を搭載し衝撃に強いため、気軽に持ち運べるのはいいのですが、容量が問題でした。12GB といいつつも C ドライブは 4GB しかないため、初回起動時でも空き容量が 1.36GB しかなく、Microsoft Office や .NET Framework のように C:\WINDOWS の下に何かをインストールするアプリケーションは入れづらかったのです。

11月29日に発売された Eee PC 901-16G では、これが 16GB の単一パーティションになり、合計容量では 4GB しか増えていないように見えますが、容量問題で悩んでいた Eee PC 4G-X や Eee PC 901-X ユーザーにとっては、これは劇的な進化といえます。

C: ドライブの容量が増えただけなら、Eee PC model S101 や Eee PC 900-X といった上下ラインナップでもそれは同じですが、容量問題が解決される代わりに CPU が Celeron M になってしまったり、価格が高くなってしまったりと、一長一短でした。

Eee PC 901-X を購入しサードパーティ製の SSD で置き換える、というアイデアもあります。たとえばバッファローの SHD-EP9M シリーズという SSD 交換用モジュールを使えば、容量を 32GB / 64GB にグレードアップできます…が、これはあくまで D: ドライブの話で、C: ドライブの 4GB は置き換えできなかったのです。

今回の Eee PC 901-16G は、901-X のスペックの余計なところをいじらずに、SSD 周りだけ補強してきた点がもっとも重要だといえます。

高速化された SSD

SSD の容量が増えただけでなく、リード速度も従来の約 2倍増えているようです。これと BIOS のブート高速化技術 BootBooster を組み合わせて XpressPath と ASUSTek は呼んでいます。

S101 と同等だとすると Windows XP 自体の起動が 28秒、シャットダウンが 10秒ということになりますが、この数字自体はさほど速いとは思いません。むしろ起動中のアプリケーションの起動時間や、動作の軽快さのほうが Eee PC 901-X では問題でした。

ASUS の UMPC がバッテリー持続時間が長いのは Super Hybrid Engine と呼ばれる省電力技術があるからですが、バッテリーの持ちを良くするために CPU の動作周波数と電圧を抑えていて、それが

「耐えられない遅さではないけどちょっとモッサリ Eee PC」

でした。それが SSD の高速化でかなり解消できるのではと期待しています。

ウィルス対策には万全を期してほしい

他にも「仕方なく使っているけど使いやすくはないタッチパッド」が改良されたのか、とか興味は尽きませんが、なんと言っても製造時のウィルス対策には万全を期してほしいところです。

10月は Eee PC 701 SD-X と Eee Box、立て続けにウィルス混入騒ぎで、10月~11月前半は仕切り直し中だった感のある ASUSTek ですが、もっともメインとなるモデルを置き換えて年末商戦に投入するというこの重要なタイミング、品質管理まわりの問題が起きてほしくないところです。