iPhone 3G の魅力はハードウェアではない
Apple の iPhone 3G (アイフォーン スリージー) が 7/11 に発売になります。全世界同時発売で、日本ではソフトバンクモバイルから購入できるようになります。発売前からお祭り騒ぎになっていますが、本当に売れるのでしょうか。
スペックをさらっと書くと、
- 3.5インチマルチタッチディスプレイ
- センサー 3種 (近接、環境光、加速度)
- 3G + 2G, HSDPA 対応
- 無線 LAN Wi-Fi 802.11g/b (n は非対応)
- 内蔵カメラ (200万画素)
- A-GPS (携帯電話基地局からの位置情報取得で GPS 測位を高速化)
- Bluetooth 2.0 + EDR 対応 (A2DP 非対応)
- Safari ブラウザ
これらを要約すると、
「Web、写メ、GPS ナビ、そして無線 LAN にもつながるタッチセンサーつきスマートフォン」
「おサイフケータイにはならない、ワンセグはない」
「Bluetooth で音楽送信はできないかも」
機能だけ見ると、国内の携帯電話と同等かやや見劣りする感じを受けてしまいますが、最大の特長はこれらを組み合わせた UI (ユーザーインターフェース) にあります。物理的な「ボタン」は 1個しかなく、Web ブラウザで画像の一部を拡大したり縮小したり、本体を縦から横向きにすると自動的に液晶画面も横向きになったり、といった、右脳的感覚で操作できるところにあります。
国内6メーカー担当者が実物を見て語った「iPhoneの衝撃と本音」 モバイル-最新ニュースIT-PLUS
二つ折り + テンキー携帯のスタイルはいつから定着したのか
日本の携帯電話は iPhone 3G と対照的に、2つ折り + テンキーが主体で、タッチパネル非搭載が主流です。
DoCoMo も、1990年代中盤はスティックタイプの携帯が主流で、N201 あたりで二つ折りの携帯を NEC が出したあたりで、
- マイクとスピーカーが離れていて顔にフィットする
- キーも画面も面積が広く取れる
といったメリットが受け、iモード開始によって広い画面が必要とされるようになったあたりで二つ折り主流の流れが確定したように思います。
操作方法としてタッチパネルタイプも定期的に発売されてはいましたが、液晶の視認性が落ちることを潔癖症の日本人気質としては嫌ったせいか、PDA や業務用ハンドヘルド端末はともかくとして、一般向けとしてはそれほどブレイクしませんでした。キーを操作するというインターフェースは、日本では
- 電卓 … 1960年代
- 関数電卓 … 1970年代
- 電子手帳 … 1980-1990年代
- PHS、PHS 以降の携帯電話 … 1995年以降
の順に脈々と築き上げられてきています。
ユーザーが今注目している画面上のアイコンがあったとして、それをカーソルキーで選ぶよりはマウスの方が、マウスよりはタッチパネルの方がより感覚的に扱えて好ましい – というのが、私も含めてある程度以上の年齢の人の既成概念です。
しかし、ケータイ世代と呼ばれる 10代中盤 – 20代前半の場合、生まれた頃にはもう PHS があったわけで、親のケータイや PHS をオモチャにして、あるのが当たり前の環境で育っているので、テンキーを目にも止まらない速さで連打しメッセージを書くのに、何のためらいもないわけです。また最近では、W-ZERO3 シリーズなどの、キーボードを搭載した Windows ケータイを取り出す姿もちらほらと見かけるようになりました。携帯市場も多様化してきています。
タッチパネル主体のエンタメ携帯が iPod 神話にあやかって、出しておけば売れる、日本の携帯はもう駄目だと本気で分析している人は多分、ある程度以上の年齢のマーケティング担当で、実際には、すでにケータイは「あかさたなはまやらわ」が数字の隣に書かれたテンキーで操作するもの、と思っている世代に対して一方的に売れるわけではなく、どちらかというと、モノの善し悪しよりもイメージ戦略 (犬?) いかんで売れ行きがかなり変わってきそうです。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。