共同通信の記事によれば、NTT ドコモは、夏商戦向けに「外では携帯」「自宅では IP 電話」として使える FOMA 新機種を発売するようですが、サービス形態には個人的に疑問が色々あります。
マルチメディア、ユビキタス、FMC
FMC ((Fixed Mobile Convergence)) という言葉が色々なところで使われるようになりました。定義としては、狭義ではドコモの例のように、1台の端末で、屋外での移動体通信と、屋内での有線通信をうまくスイッチして使い分けたりといった意味のようです。 ((広義ではもっと移動体通信と有線通信を密接に融合したものが含まれますが、広義の方は、いろいろ解釈のしようがありそうでキリがないので、ここでは狭義の FMC だけを取り扱います。))
ワイヤレス + ワイヤードな電話というと、何か新しいテクノロジーのように見えて、
「だって、PHS だってホームステーションで固定電話のフリできたじゃない。PHS ってもしかして 5年先を行ってた FMC 端末??」
という非常に意地悪な質問をしてみたくなります
FMC、この業界によくある「マルチメディア」「ユビキタス」といった、定義がはっきりしているようで、そうでもなく、みんなが儲かりそうなキーワードのため多用されすぎて、手垢にまみれていくというお決まりのパターンにハマっているような気がします。
FMC は NGN の一環とは限らない
FMC は、NGN とセットで提供されるものだとばかり思っていました。NGN ((Next Generation Network)) は、総務省が今年認可し、NTT が「フレッツ光ネクスト」というサービス名で提供を始めたサービスです。従来の D70 などの交換機をベースにした回線交換網やパケット交換網に替わって、ネットの世界で普及した IP 網をベースにし、電話だけでなくデータ、動画を含めたサービスを提供する、と。
その NGN の目玉の一つが FMC と位置づけられてきたと思っていました。Wikipedia にはそのように書いてありますね。
が、フタを開けてみれば NGN (フレッツ光ネクスト) のサービス開始時の内容には、携帯らしきものは入っておらず、モバイルマニアとしてはがっかりしていたりします。
FMC は固定電話と接続するとは限らない
また 2006年 8月の ITmedia の記事によると、総務省がドコモと NTT 東西に FMC サービスを認める方針だとしていて、この記事の中では FMC は携帯電話と固定電話を一体化したものだとしています。一度は分社した NTT の移動体と固定電話各社が連携する恰好のテクニカルタームだなこれは、と思った覚えがあります。
ところが、こちらもサービス開始報道を見ると、自社の携帯との接続相手は無線 LAN アクセスポイントやフェムトセル基地局だったり、接続するのはドコモの回線網だったり、フレッツ光ネクストどころか固定電話のコの字も出てきません。
一つは、NTT 固定電話と NTT ドコモが再度連携するのは、他通信事業者にとって大きな脅威になるため、総務省が FMC を認可する際に他の事業者に対しても接続を開放することを条件にしたらしいですが、フジサンケイの記事が正しいなら、開放しているのではなく、結局、自社のネットワークに接続しているようです。おそらくホームステーションの 2008年版みたいなのか、サービスに対応したモデム、ルータが発売されるんでしょう。名前が「ホームエリア」サービスというのも、なにかホームステーションを彷彿とさせますし 🙂
確かに固定電話の回線数は減ってきていて、2007年度計画で 5000万回線を割りそうになっていますし、また NGN と接続するビジネス上の魅力もあまり感じられません。個人的には、次世代ネットワークサービス同士が連動して動く様子は、単純に一回見てみたい気がするのですが、ドコモにはその気も余裕もないようです。
au KDDI やソフトバンクも自社で携帯 + 固定電話 (IP 電話) を組み合わせた FMC サービスを展開することができるわけですが、この 2者がどんな展開の仕方をするのかは興味がありますね。 🙂
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